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「コアタイム」を廃止して女性を生かす中部電力

サテライトオフィス活用
「コアタイム」を廃止して女性を生かす中部電力

人事施策について打ち合わせる人事部門担当者

中部電力は1990年のフレックスタイム導入を皮切りに、在宅勤務制度やモバイルワーク制度も2018年に導入し、柔軟な働き方ができる環境を整えてきた。ワークライフバランスを推進する狙いもあったが、コロナ禍を機に在宅勤務やオンライン会議が広がっており、21年4月に在宅勤務の上限拡大などでさらなる推進を図る。女性の活躍促進で妊娠中や子育て中の社員の環境を整備、女性の管理職増加も目指す。(名古屋・市川哲寛)

中部電力は事業環境の激変期を乗り切るにために柔軟で効率的に働ける労働基盤を充実させ、社員の健康と安定した生活基盤維持に努め、業務に精励できる環境の整備が必要だと考える。このため労働時間短縮や柔軟な働き方ができる取り組みを推進し、社員のワークライフバランスの実現に向けて支援している。

新型コロナウイルス感染拡大が在宅勤務やオンラインミーティングなどを増やす契機になった。水野博之マネジメントサービス本部人事センター採用・人財活躍支援グループ長は「出社を前提とした働き方からリモートワークを活用した働き方にシフトしている」と変化を説明する。

フレックスタイムは技術開発本部を手始めに本店や支店、発電所など第一線の事業場に順次拡大してきた。10―15時をコアタイムとしているが、4月に廃止する方針だ。

サテライトオフィスは同社、送配電事業を担う中部電力パワーグリッド(名古屋市東区)、販売事業を担う中部電力ミライズ(同)の事業拠点76カ所のフリースペースに228席を設置。自宅や出張先に近い事業場を使うことで通勤や移動の時間削減、顧客への迅速な対応につながる。

同じく通勤負担を軽減し、時間を有効活用できる在宅勤務は、新型コロナでの臨時対応で日数の上限を撤廃した。制度としては週2日、月8日が上限だが、4月に1カ月の勤務日数の半分以下に見直す方針。1カ月の上限日数は大幅に増えない見込みだが、週2日の制限解除によって連続してまとまった日数を取れる。

子育て中の社員には法律より手厚く支援している。所定外労働抑制や時間外勤務制限、深夜労働制限は法律では3歳未満や小学校入学前までだが、中部電はいずれも小学3年生の年度末まで適用可能。女性社員の利用率が高い短時間勤務も20年に小学3年生の年度末までの適用にした。

また、15年度から女性主任の育成研修や先輩女性社員との交流研修を実施。育児休職復職者向けセミナーにはパートナーも参加する。これらで20年度の女性役付き職数が229人となり、14年度(109人)の2倍以上とする目標を達成した。

女性社員とパートナーが参加する育児休職復職者向けセミナー(中部電力提供)

4月には電子決裁システムや上司と部下の1対1のミーティングも導入する方針だ。リモートワークが増える中で、社員のケアを目的にコミュニケーション充実を図る。「子育てや介護などを抱える環境でもより生産性の高い働き方ができる環境を整えたい」(水野グループ長)と、ワークライフバンスを重視する考えだ。

日刊工業新聞2021年2月3日

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