政府がAIで五感情報の計測や伝達技術確立へ!医療や建設現場などでリモート促進
五感情報の計測・伝達など
経済産業省は遠隔にある環境の状態を推定したり、提示したりする研究開発に着手する。生産性向上や多様な働き方を推進する観点から中長期的にリモート化への需要が高まる状況に対し、人工知能(AI)を駆使して動作や感情、周辺環境の状態を推定し、視聴覚以外の情報も組み合わせた提示や再現を試みる。2024年度末までに共通基盤を確立し、医療や教育、小売り、建設現場など幅広い場面で応用を目指す。
非接触・遠隔な状況での操作の高度化に向け、五感情報の計測や伝達などが可能な技術の確立を狙う。操作者に対して、物理的な数値の提示や仮想現実(VR)、拡張現実(AR)などを駆使して伝えたり、再現したりする技術を想定する。
現状の遠隔技術では難しい力覚や触覚、嗅覚などの情報も測り、複数情報を組み合わせた伝達手法を確立する。遠隔環境にいる人の動作や表情など非言語化された情報や周辺環境などを推定し、操作者が実際に現場にいる時よりも多くの情報を基に判断できる状態を構築する。現場に人が介在するような場合でも、遠隔からの作業が可能な状況を生み出して協調を図る。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を通じて企業や研究機関などに委託する形で進める。既に展開しているセンシング技術や次世代AIなどに関する研究開発と並行して構築する。
コロナ禍を機にリモートによる働き方が広がったが、実際の現場と比べて制約が多い。現状は音声や映像での情報伝達が中心で、現場作業を補完できる水準に至っていない。五感情報を駆使したリモート技術で現場の状況を再現、提示し、オンラインでの診療や授業、実習、技術伝承など幅広い場面での活用につなげ、社会全体の生産性向上を図る。
日刊工業新聞2020年1月25日