DXの事業化を進めるSCSK、4つの重点領域でM&Aも
「コロナ禍による不透明感は今後も継続するとみている。ただ、顧客接点の高度化や働き方改革、リモート化を実現するサービスが好調で、2021年3月期は当初の計画よりも若干上振れすると予想している。21年は組織やサービスについてじっくり検討し、30年の『共創ITカンパニー』の実現に向けて基礎を固めていきたい」
―デジタル変革(DX)の事業化を進めています。「『モビリティ』『金融サービスプラットフォーム(基盤)』『ヘルスケア』『カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)』の四つを重点領域とし、50サービスの提供に向け検討を進めている。サービス実現のために投資やM&A(合併・買収)も考えたい」
―具体的なサービス例は。「ヘルスケアでは、病院の電子カルテや製薬会社などと連携し、自分の薬歴をカード1枚で管理できるサービスを検討中だ。サービスの実現には『共創』が重要になる。業種業態に限らず、当社の顧客同士を結びつけていき、新たなビジネスモデル創出を目指す」
―20年4月に開発・運用基盤を全社で統一しました。「現在、30の新規プロジェクトが同基盤上で動いている。システム構築・開発の自動化、ローコード開発を実現し、3割の生産性向上を期待したい。来期はビジネスパートナーにも展開し、ゆくゆくは業界標準にしていく。システム構築業者は労働集約型と言われて久しいが、価値創出型に変わろうと現場の革新にも力を入れる」
―人材投資も進めています。「3000万円の給与を可能にした『ADV職掌』には社内外から複数の推薦があり、選定を進めている。早期に10人、30年までに100人の採用を目指す。3000万円以上の報酬や、若手でも高給を受け取れる制度があっても良いと思っている。DX事業化と事業革新の両輪を回し続けるため、人材の高度化・拡充を進める」
2030年度に売上高1兆円規模の「共創ITカンパニー」の実現を掲げているSCSK。20年度に始まった3カ年の新中計では、事業革新とDX事業化、これらの両輪を回す人材投資を基本に、社内制度などを大きく一新。大きな一歩を踏み出した。21年はこれら改革の成果をあげる年となる。(狐塚真子)