全社員がテレワークのウェブ会議ツール大手、社会の働き方改革を支援

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2016年に開発拠点を仙台に設置。東京と同じ給与体系としている(17年撮影)

勤務場所・時間―制限を撤廃

時間や場所を問わず、効率よく働ける会社に―。ウェブ会議ツール大手のブイキューブは、2017年に個人が最適な働き方を選べる制度を導入。幼い子どもがいる社員や地方在住者も平等に働ける環境をつくってきた。その結果、コロナ禍でのテレワークを中心とした働き方にも迅速に移行できた。また、遠隔でもリアルに近い感覚でコミュニケーションが取れるオンライン配信ツールも発売し、社会の働き方改革にも寄与している。(苦瓜朋子)

「ウェブ会議ツールの会社がオフィスに縛られて働くのはおかしいのでは」(間下直晃社長)。ブイキューブが働き方にテコ入れしたのは、こんな疑問からだった。

間下社長は学生時代に前身となるウェブ制作会社を設立。当時は主にテレワークで働いており、社員間の情報共有用に開発したのが現在の主力であるウェブ会議ツールだ。だが、事業拡大による社員増に伴い、一般的な会社と同様に出社勤務を前提とするようになっていた。

10年に一部社員を対象とする週1回までのテレワーク制度を導入した。15年に顧客サポートなどを担うサテライトオフィスを和歌山県内に設置し、16年には仙台市に開発拠点を開設。地元在住者を採用し、東京本社と同じ給与体系とした。

さらに根本的に働き方を見直すため、社内横断のプロジェクトチームと人事部が共同で17年に「オレンジワークスタイル」を制定。テレワークの対象を全社員に拡大し、回数や働く場所の制限を撤廃した。コアタイムなしで労働時間のみを設定するスーパーフレックスタイム制度も導入。子どもの保育園の送り迎えで仕事を一時抜けることが可能になり、育児中の社員も働きやすくなった。また、家族の実家がある地方に移住し、毎日テレワークで仕事をするなど、柔軟な働き方が可能になった。

コロナ禍での急なテレワーク導入で、上司から部下の仕事ぶりが見えず、コミュニケーション不足で業務効率が下がっている企業も少なくない。以前から同社は働く時間や場所に左右されない成果評価を徹底している。部下の業務進捗(しんちょく)状況はクラウド上で上司が共有しており、「必ずしも面と向かって仕事をする必要はない」と今村亮ピープル・サクセス室室長は説明する。

また、社員間の日常的な情報共有はチャットで行うため、「チームワークを落とさず、テレワークに全面移行できた」(今村室長)。ただ、テレワークの長期化で「偶発的なコミュニケーションが起きづらくなっている」(間下社長)ことの懸念もあった。会議やセミナーなど明確な目的がある集まりとは異なり、雑談や、そこで生まれるアイデアやビジネスチャンスは従来のウェブ会議ツールでは代替しづらい。

そこで20年11月にチャットとウェブ会議で立ち話や商談ができるオンラインイベント配信ツールを発売。働き方のさらなる多様化に貢献したい考えだ。

日刊工業新聞2021年1月20日

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