「下期から再開発事業や企業の投資も始まる」清水建設社長の“工事見通し"

井上和幸社長インタビュー

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清水建設社長・井上和幸氏

―新型コロナウイルスの影響は。

「新型コロナにより2020年は国内の作業所を一時停止したため、挽回するための急施工で費用負担が増加した。発注も厳しい1年だった。海外の連結売上高比率は1割程度だが、工事が止まったり遅れたりしたため苦戦した」

―今後の見通しは。

「21年度に入ってもすぐにビジネス環境が改善するのは難しいだろう。手控えられた発注がどこまで戻るのか見通しが立たない。影響は長期化しそうだ。ただ下期(10月―22年3月)になれば、予定されていた再開発事業や、企業が生産性向上や成長に向けた建築投資も始めるだろう。土木分野でも5年で事業規模15兆円の国土強靱(きょうじん)化に向けた計画も始まる」

―コロナによる働き方への影響は出てきていますか。

「社員寮などを活用した分散型勤務や本社内を段階的にフリーアドレスに変更するなど、感染予防策を強化する。作業現場の在宅勤務は難しいが、リモートで対応できることは取り入れたい」

―今後の技術開発の狙いは。

「現地の検査などは、3D(3次元)カメラや情報通信技術(ICT)を駆使することで、リモート化や事務作業の効率化を進めている。また、職人による巧みの技と、資材の搬送、鉄骨柱の溶接、天井ボードを貼る作業など自律型ロボットを活用した次世代型施工を融合して、生産性の向上を目指す。技術連携では、鹿島、竹中工務店の3社で協力して建設業界に貢献できるものを作りたい」

―海外の強化策は。

「期待のマーケットはベトナム、インドネシア、フィリピンなどの東南アジア。地下鉄工事などインフラ需要が伸びるだろう。米国の不動産投資にもしっかり取り組みたい」

―環境対応は。

「国連の持続可能な開発目標(SDGs)やESG(環境・社会・ガバナンス)経営に注力する。政府が2050年までに温室効果ガス排出ゼロを掲げた。関連技術の開発や投資を進める好機だ。洋上風力発電や太陽光発電、木質バイオマス発電などに加え、来年度は水素エネルギーの取り組みを強化したい」

記者の目/コロナ克服、成長の試金石

建設業界は、担い手不足とデジタル化の対応、脱炭素社会実現に向けた取り組みが課題となっている。コロナによって経営面では厳しい面もあったが、課題解決を後押しする場面もみられた。「今年はコロナを乗り越える年にしたい」と井上社長。コロナに負けない企業体質を確立できるかが、成長の試金石になるのかもしれない。(編集委員・山下哲二)

日刊工業新聞2021年1月15日

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