コロナ禍の鉄鋼需要はどうなる?JFEホールディングス社長「自動車と土木は底堅い」

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JFEホールディングス社長 柿木厚司氏

年産2500万トンで収益出す

―コロナ禍での鉄鋼需要をどうとらえていますか。

「自動車と土木関連が底堅く、造船や海外のエネルギー分野は回復基調が見えない。全般に少し明るくなってきたが、コロナ前の水準に戻るのかは不明。得意とする高級鋼の需要を見つつ、2020年3月に策定した最適生産のための構造改革で足りるか検討する」

―50年の脱炭素目標を政府が表明する前に、30年度の二酸化炭素(CO2)排出量を13年度比20%超減らすことを打ち出しました。

「カーボンニュートラル(温室効果ガスの実質ゼロ)は50年以降できるだけ早く実現させる。(低品位の石炭・鉄鉱石を使う)フェロコークスの実証や、転炉でのスクラップの大量活用など、既存ツールで20%以上は削減するが、これだけでゼロにはできない。中長期の革新技術開発が不可欠だ。水素の安価・安定調達などに国の支援をお願いしたい」

―再生可能エネルギー分野をグループの成長戦略に据えていますね。

「中でも洋上風力は成長が期待できる。JFEエンジニアリングが装置の設置、JFEスチールが鋼材供給、JFE商事が需要開拓を行い、ジャパンマリンユナイテッド(JMU)も参画し相乗効果を上げる。世界的な需要や技術の進展は想定より速そうで、時間との勝負。M&A(合併・買収)も考えたい」

―広島県福山市の高炉の早期再稼働はデジタル変革(DX)の成果です。

「鉄鋼は装置産業。変化への対応が苦手と思っていたが、ITで約1カ月前倒しした。やればできる。必要な作業を人工知能(AI)などによって効率化できた。需要の変動に柔軟に対応できるのがDX。将来は海外の同業にこうしたノウハウを売っていきたい」

―川崎市川崎区の高炉の停止時期を23年9月めどに早めました。

「粗鋼年産2500万―2600万トンでも収益が上がるようにする。構造改革でコスト削減は固定費で600億円、減価償却費で250億円、老朽更新投資で年間200億円の計1050億円を見込む。黒字化へ少しでも早く効果を上げたい。コロナ禍だからこそ、変化に対応できる強靱(きょうじん)な会社にしたい」

【記者の目/収益効果の早期発現必須】

鋼材需要が持ち直す中、21年は米中間の経済摩擦、中国勢の行方を事業リスクとしてますます意識せざるを得ないだろう。加えて脱炭素の政府目標は、石炭の恩恵にあずかってきた鉄鋼業には大きなハードルだ。視点の異なる経営計画も必要で、収益効果の早期発現は、経営にとって必須条件になりそうだ。(編集委員・山中久仁昭)

日刊工業新聞2021年1月5日

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