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JFEスチールが訓練シミュレーター導入、作業者の能力のバラつきを解消へ

JFEスチールは高炉の操業で、作業者間の能力のバラつきを解消する。トラブルの復旧や回避などの対応力を高めるのが狙い。非常時に適正に行動できるか予測し、訓練するシミュレーターを導入し、2020年度中に全国4地区で運用を始める。今後、トラブルの原因と対策を盛り込んだノウハウ集の運用や、eラーニングでの確認テストも始める。18年度に相次いだトラブルの事例を踏まえて人材教育を進め、再発防止を徹底する。

鉄鋼業界では18年、高炉関連のトラブルが相次いだ。JFEスチールでは倉敷地区(岡山県倉敷市)、千葉地区(千葉市中央区)などで起き、再発防止の観点からからデジタル変革(DX)を加速している。

今後段階的に取り組む人材教育もその一環で、高炉の温度低下で原料や溶銑(ようせん)が固まり取り出せない「炉冷事故」、炉内の状態が乱れて通気不良となる「吹き抜け」などへの対応が狙い。

20年度中に運用する操業シミュレーターでは「なぜこうした状況になったのか」「こうすればどうなるか」が体感できる。炉内の操業状況を予測し、選択した行動が適正か検証できる。具体的な案件ごとに、オペレーターやエンジニアが各自のパソコンで手軽に学べるようにする。

21年度に整備するトラブル防止ノウハウ集では、長年蓄積した原因や対策をデータ化し、閲覧・共有できるようにする。eラーニングでのテストは、学んだ知識を確認するもので22年度の運用を予定。文書化したノウハウ集に連動させ、若手の教育ツールとして活用する。ウェブ上だけでなく、文書での教育も随時進めていく考えだ。

日刊工業新聞2020年12月8日

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