都庁をグルリと1周、5G自動運転をKDDIらが実証

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5Gにより遠隔地にいるオペレーターは車載カメラの映像をリアルタイムに監視・操作できる

無人で200m、人・車検知

【都庁を1周】

KDDIは、モビリティテクノロジー(東京都千代田区、MoT)やティアフォー(名古屋市中村区)など5社で、第5世代通信(5G)を用いた自動運転技術の実証実験を進めている。11月には5Gの高速大容量、低遅延といった特徴を生かし、運転席を無人化した遠隔型自動運転の実証を東京・西新宿で実施した。

実証では、5Gエリア内の京王プラザホテル(東京都新宿区)を出発し、ティアフォーの自動運転システムによりKDDI新宿ビル(同)までの約200メートルを歩行者や他の車両などを検知して無人で走行。走行中にシステムが機能しなくなった場合に備え、遠隔からも操作できる仕様とした。KDDI新宿ビルから離れると4Gに切り替わるため、運転手が乗車し、都庁の周りを1周して京王プラザホテルに戻った。

【5Gが必要】

遠隔型自動運転では、車両から遠隔監視システムへの映像伝送の遅れが課題だが、5Gを用いることで4Gに比べて遅延を約半減できる。「無人運転時は遠隔でブレーキを踏んでから停止するまでの距離など法律上の基準がある。これを満たせるのは5Gだけだ」と、加藤真平ティアフォー会長兼最高技術責任者(CTO)は説明する。

5Gは一つの基地局で多くの端末を同時に接続できるため、「たくさんの車が同時に走る場合には4Gでは処理が難しい。商用化を考えれば5Gが必要だ」と、KDDIの岩木陽一執行役員経営戦略本部長は強調する。

【地方展開も視野】

12月には複数車両が同時に走行し、遠隔からリアルタイムに監視する実証を開始。一般客向けには、配車アプリケーション(応用ソフト)で指定した乗降場所から最適経路を判別して走行する取り組みも行い、実用化に向けて歩を進めている。

ティアフォーの自動運転システムはバスや小型搬送ロボットなどでも利用できる。加藤会長は「西新宿をロールモデルに地方にも展開したい」と話す。地方ではバス運転手不足による地域交通の衰退が懸念されている。課題解決のためにも、5Gの全国展開が待たれる。

日刊工業新聞2020年12月23日

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