送電設備工事にドローンを活用! 山岳地の作業の安全性と効率を高める
中部電力は年内をめどに高機能飛行ロボット(ドローン)を、山岳地の送電設備工事の現場で試行運用する。試験飛行により、ドローンで最大重量20キログラムの資材を、片道約1900メートルを離陸から着陸まで完全自動で運搬できることを確認した。山岳地における資材運搬作業の効率化と安全性の向上につなげる。
試行運用でノウハウを蓄積し、飛行距離の延伸や運搬重量の増加などを図りながら、現場での本格運用につなげる方針。送配電事業子会社の中部電力パワーグリッド(名古屋市東区)が手がける送電設備工事の現場で運用していく。
試行運用に先立ち実施した試験飛行では、スカイドライブ(東京都新宿区)製の電源2系統、モーターとプロペラの並列構成などによるバックアップ機能の拡充で安全性を高めたドローンを用いた。事前に飛行ルートを設定し、状況に応じてマニュアル操作に切り替えて対応する完全自動飛行で実施した。距離270メートル、高度差50メートルで、工具やガイシ、水入り一斗缶などを運んだ。
連続往復で運搬後にホバリングを続けて着陸後に残ったバッテリー容量から連続飛行時間と距離を計算した。資材重量20キログラムでは連続で6分余り飛行し、連続飛行距離は約1900メートル。資材を自動車で運べる離陸地点から工事現場までの直線距離は1000メートル以内が多く、適用性は高いとみる。
ドローンが送電線の近くを飛行すると、送電線から生じる磁界がドローンのセンサー類に影響を及ぼす可能性がある。
このため模擬磁界発生設備を用いて磁界影響試験を実施。送電線の近くで想定される0―200マイクロテスラ(マイクロは100万分の1)では、機体への影響がほとんどなく、現場適用できることを確認した。
日刊工業新聞2020年12月9日