固定翼型ドローンの利用拡大へ。「マルチローター型」との棲み分けはできる?

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長岡技術科学大学などの試験に使われた固定翼型無人電動航空機

長岡技術科学大学の中山忠親教授や新明和工業などのグループは、混線しにくい169メガヘルツの周波数帯を利用して固定翼型無人電動航空機を飛ばす試験に成功した。大気汚染の測定や作物の生育状況の把握など、広範囲の調査が必要な分野で「固定翼型」飛行ロボット(ドローン)の使用に技術的な問題がないことを確認した。狭い範囲で使う「マルチローター型」ドローンとすみ分けることで、固定翼型ドローンの利用拡大を期待できそうだ。(新潟支局・山田邦和)

試験に使用した無人電動航空機はドローンの一種。ドローンには3枚以上の回転翼を持つマルチローター型、固定翼を持ち航空機やハンググライダーに似た外見の固定翼型があり、無人電動航空機は固定翼型に属する。マルチローター型の飛行時間が最大1時間程度なのに対し、翼がある固定型は4時間以上連続で飛行できる。ホバリング(上空での停止)ができない代わりに、周回しつつ広範囲を飛べるため、新潟県内では例えば「PM(粒子状物質)2・5など大気汚染物質の測定や稲の生育状況の把握、海での赤潮の発生の観測などに利用できる」(中山教授)。

今回使用した169メガヘルツの周波数帯はもともとドローンの運用を念頭に割り当てられた。主に使用されている2・4ギガヘルツ帯が無線LANなどの干渉を受けたり建物に遮られたりしやすく、通信も600メートル程度しか届かなかったのに対し、混線などの心配がなく通信範囲も5キロメートルと広い。試験では基地局と中継局の間で通信相手を切り替え、中継局を介して遠隔操縦する「ハンドオーバー」にも成功した。中継局を設置すれば、新潟県と佐渡島をへだてる佐渡海峡を荷物を搭載して往復することも可能だ。

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)などではマルチローター型ドローンの開発プロジェクトが進んでいる。中山教授は「比較的狭い範囲にはマルチローター型、広範囲や長距離には固定翼型とすみ分けつつ、ともに市場が拡大していくことを期待している。例えば電池の改良や電波技術などではお互いの知見を共有できるだろう」としている。

日刊工業新聞2020年12月2日

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