トヨタが中国戦略を強化! 新型車の投入と現地開発でシェア拡大を狙う

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4月に中国市場に投入した小型SUV「C―HR/イゾア」のEVモデル

トヨタ自動車が重点戦略地域に掲げる中国で、新型車の投入を活発化している。2021年に現地主導で初めて開発した新型車2車種を発売するほか、プラグインハイブリッド車(PHV)のラインアップを拡充する。中国での新車販売は年初にコロナ禍の影響を受けたものの、10月まで7カ月連続で前年実績を上回るなど堅調に推移する。現地開発など新たな手法を取り入れ、さらなるシェア拡大を目指す。(名古屋編集委員・長塚崇寛)

「中国では品質や性能に加え、中古車価格を維持するため安易な値下げをせず、リセールバリューを高めたことが奏功した」。トヨタ幹部は好調の要因をこう分析する。19年の新車市場が前年比で8%減少した中、トヨタは9%の増加で着地。コロナ禍に見舞われた20年も、約1割増の176万台とする販売計画を変えていない。

勢いをさらに加速するため、トヨタは新機軸を打ち出した。現地拠点が製品計画から設計、製造までを一手に担った中型セダン2車種を完成。現地開発の推進で、市場の変化に即時対応できる体制を整えた。現地担当者は「中国の顧客を最も理解するカーメーカーになる」と力を込める。

新型車は姉妹車で、現地企業との合弁会社が開発した。「アリオン」を一汽トヨタが、「レビンGT」を広汽トヨタが取り扱う。トヨタ本体の新設計手法「TNGA」を採用し、プラットフォーム(車台)は旗艦セダン「カローラ」をベースに設計。トヨタのセダンモデルの特徴である滑らかなラインとデザインを踏襲した。

パワートレーンは、カローラを上回る排気量2000ccのガソリンエンジンを搭載。高い燃費性能と走行性を達成した。最新の予防安全パッケージ「トヨタ・セーフティー・センス(TSS)」を標準装備するなど、安全面にもこだわった。両車とも21年3月の発売を計画する。

環境規制の高まりを受けて、電動車の品ぞろえも増やす。スポーツ多目的車(SUV)「RAV4」と「イゾア」の2車種をPHVのラインアップに加え、21年前半に投入する。中国向けPHVは現在の2車種から4車種に増える。「新エネルギー車市場にSUVを投入し、競争力をさらに高める」と担当者の鼻息は荒い。

中国政府は35年をめどに新車販売をEVやハイブリッド車(HV)など、環境対応車のみにする方針を掲げる。トヨタはEVやHV、燃料電池車(FCV)など多様な電動車を持つ強みを武器に、環境規制と対峙(たいじ)する。

トヨタの19年の中国新車販売台数は162万700台となり、過去最高を更新した。それでも、423万台を販売した首位の独フォルクスワーゲン(VW)の背中は遠い。

新型車の積極投入とともに、デジタル技術を活用した顧客との新たな接点づくりなどを推進。ブランド力の一層の向上で頂点に挑む。

日刊工業新聞2020年12月2日

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