利益倍増のトヨタ、章男社長が考える一番強くなったこと

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豊田章男社長

サプライヤーと二人三脚

トヨタ自動車が、2021年3月期の営業利益予想を、当初予想の倍以上に上方修正した。コロナ禍での大幅な業績回復は、リーマン・ショック後に進めてきた体質改善の実績を示した格好だ。成果を得て、豊田章男社長は創業時からの理念を再定義した。国連の持続可能な開発目標(SDGs)にもつながる“フィロソフィー”を軸に電動車をはじめとする次世代戦略を加速し、さらなる高みを目指す。

「資金面や収益構造が強くなったこともあるが、一番はトヨタで働く人が強くなったことだ」―。社長として初の中間期決算会見に臨んだ豊田社長は、断言した。リーマン以降、現場のムダを省くカイゼンの徹底や、部品供給網の見直しといった体質改善を継続。「リーマン以上の危機」とされたコロナ禍は、11年間の活動が試される機会だった。

リーマン時に止めざるを得なかった新規プロジェクトも、今回は計画通り実行。4―6月期に前年同期比68・2%まで落ち込んだグループ総販売台数(ダイハツ工業、日野自動車含む)は、7―9月期に同91・8%まで回復した。豊田社長は「リーマン時の販売は市場を4%下回っていたが、今回は3%上回るペースで回復した」と、手応えを実感する。

急回復の中で特に注視していたのが、サプライヤーの状況だ。「トヨタの調達部門は、急激な増産に我々がついていけるかとても気にしていた」。一次部品メーカーの首脳は、こう明かす。いくら好調でも「仕入れ先がなければトヨタは車を作れない」(トヨタ首脳)。4―5月に稼働を半分以下に落としたサプライヤーにとって、短期間での大幅な稼働増は大きな負担だ。トヨタの近健太執行役員は「これまで以上にコミュニケーションを増やしている」と強調。資金繰りについての調査のほか、トヨタの生産改善部隊がサプライヤーの現場に入るなど、協調体制で回復を支えた。

会見への出席理由を「コロナ危機という有事であると共に、頑張った人たちに感謝を伝えたかった」とした豊田社長。感染再拡大リスクだけでなく、温室効果ガス排出ゼロ社会など変革の時代は続く。今回の成果を一里塚とできるかは通期目標の達成に加え、次世代戦略の遂行にかかる。

日刊工業新聞2020年11月10日

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