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令和時代の上司が部下を公平に評価するために確認すべきこと

#3 こんな上司には誰も付いてこない その2
令和時代の上司が部下を公平に評価するために確認すべきこと

 

 前回掲載した「自分の悪い癖を探してみよう!チェックリスト」で、普段、何気なくやってしまっている(上司としての)悪い癖を客観的に捉えられたでしょうか。
 今回は「部下の評価」に焦点を当てます。自分がどのように部下を評価しているか具体的に理解することで、良好な部下との関係性を築くきっかけになります。

あなたは、自分と同じような考え方を持っている人や、自分と性格が似ている人を高く評価してしまうことはありませんか? 一方で、自分の考えを批判する人や意見する人とは距離を起きたい、避けたいと思うことはありませんか?
 私たちは、自分の好き嫌いによって人を評価しがちです。

例えば、体育会系の上司は体育会系の部下を好み、計画重視の上司は計画をしっかり立てる部下を好むようにです。これが酷くなると、自分の好みによって、部下への態度や対応を変えるような最悪な上司になってしまいます。相手によって助言をしたり・しなかったり、注意したり・しなかったりします。そうなると、周りの人は不信感を抱き、最終的に、上司にとって都合のいい部下だけが残る状況になってしまいます。

人事評価など、公平に評価する機会が設けられているときは、数値を使った評価や、複数人が評価するようにしたりして対策や対応がまだできます。ですが、普段はどうでしょうか?

えこひいきしてはダメだと思っても、ついついやってしまうことはありませんか?
 例えば、自分に対して愛想のよい部下、自分の話に関心を持ってくれる部下、素直に聞いてくれる部下に対して、えこひいきしていませんか? またゴマをすってくるような部下はダメだと思っていても、いい気分にさせられること自体はなかなか拒否できないでしょう。このような部下に肩入れすることはありませんか?

多様なメンバーとフェアに付き合うのは、言うほど簡単なことではありません。自分が思っているよりも、客観的に評価・判断できないことを認識することが大切です。試しに、自分が気に入っている部下に対して、自分がどう評価しているか、次の2パターンで比べてみてください。

・その1.客観性を高めた評価
評価項目の数値化や細分化などによる評価。ピアーレコグニション(同僚からの評価)をできるだけ考慮する。

・その2.感覚的な評価
個人的に何となく思う部下に対する評価。

「客観性を高めた評価」と「感覚的な評価」では、評価結果に違いがあると思います。その違いはどれくらいあるでしょうか? 例えば、図のようになっていませんか?

次の2つの視点において、評価にどれくらい影響したでしょうか?

①自分と似ている度合い  相手が自分と考え方や性格など、どれくらい似ているか。

②いい気分にさせられる頻度  部下は自分にどれくらい愛想よかったり、ゴマをすったりしているか。

このように自問自答していくことで、自分が思っているよりも、好みや感覚などで主観的な評価をしていることを改めて認識できると思います。まずは、自分自身の考え方や感じ方、判断の癖を客観的に認知していきましょう。自分の悪い癖や課題としっかり向き合い、行動レベルの改善策を考え、実践していくことで、部下との関係性もよくなり、双方にとって気持ちよく仕事ができるようになります。

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<著者紹介>
飯田剛弘(いいだ よしひろ)

愛知県生まれ。2001年、南オレゴン大学卒業(全米大学優等生協会: Phi Kappa Phi 所属)後、インサイトテクノロジー入社。2004年よりインド企業とのソフトウェア共同開発プロジェクトに従事。その傍ら、プロジェクトマネジメント協会(PMI)の標準本の出版翻訳に携わる。マーケティングに特化後は、データベース監査市場にて2年連続シェア1位獲得に貢献。市場シェアを25.6%から47.9%に伸ばす(ミック経済研究所)。
 製造業の外資系企業FAROでは、日本、韓国、東南アジア、オセアニアのマーケティング責任者として、日本から海外にいるリモートチームをマネジメント。アジア太平洋地域でのマーケティングやプロジェクトに取り組む。人材育成や多様性のあるチーム作りにも力を入れ、1on1ミーティングは1,000回を超える。
 2020年、ビジネスファイターズ合同会社を設立。現在、多様なメンバーと協働し、グローバルビジネスで結果を出してきた経験を基に、経営やマーケティングの支援、グローバル人材の育成やリモートチームのマネジメント支援(研修・講習・執筆)など多方面で活動中。
 著書に『童話でわかるプロジェクトマネジメント』(秀和システム)、『仕事は「段取りとスケジュール」で9割決まる!』(明日香出版社)、『こじらせ仕事のトリセツ』(技術評論社)がある。
https://bizfighters.com/

特集・連載情報

“令和上司”に必要な力とは?
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「令和」に元号が変わり、1年半を迎えようとしている。生活も社会も大きく変化させた新型コロナにより、働き方を見直す動きも多くの企業で見られた。「Withコロナ」とも言われるこの新しい時代に求められる上司像とは、どのようなものなのだろうか。
 書籍『令和上司のすすめ 「部下の力を引き出す」は最高の仕事』の発売を記念し、特集「”令和上司”に必要な力とは?」を連載する。第1回では、著者・飯田剛弘さんに「令和の上司」の役目を解説してもらう。

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