キヤノンが映像解析技術をロボット市場に転用、“産業の目”で存在感を発揮

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ビジュアルSLAM技術で自己位置推定をしながら移動した軌跡(イメージ)

映像解析技術で存在感

キヤノンは他社の協働ロボットや無人搬送車(AGV)に映像解析技術を提供し、“産業の目”を担う企業としての存在感を高めている。枝窪弘雄イメージソリューション事業本部副事業本部長に、独自技術の活用拡大で重視する点や今後の展望について聞いた。(国広伽奈子)

―日本電産シンポ(京都府長岡京市)に映像解析技術を提供して、移動ロボット市場に参入しました。協業先に同社を選んだ理由は。

「既存方式で技術を確立し、高精度な自己位置推定ができる『ビジュアルSLAM』技術を活用する基盤があるメーカーを協業先に想定していた。日本電産シンポはガイドレス方式のAGVに積極的で技術力も高い。方向性も一致していた。そういう企業と組めると事業の立ち上げや技術蓄積の速度が上がる」

―キヤノンから協業の提案を行いました。

「キヤノンは静止画の会社という印象を持たれやすく、映像技術を十分に認知されていない。ビジュアルSLAM技術も学会発表はしていたが、商用利用に関する動きは知られていなかった」

―映像解析技術の活用拡大にアライアンスが重要な理由を教えて下さい。

「映像解析のソリューションは単独での提案が難しい。狙う市場に強く、方向性が合う企業と協力してアプローチする必要がある。単独で市場を作るカメラとは異なり、各社の技術や知見を組み合わせなければならない。アライアンスは重要な戦略の一つだ」

―ソリューションの提供先が徐々に増えています。次の狙いは。

「ロボット以外では『スマートモビリティ事業推進プロジェクト』が1月に立ち上がった。自動車や交通インフラ向けソリューションで、パイオニアスマートセンシングイノベーションズ(PSSI、東京都文京区)と『3D―LiDAR(ライダー)センサー』を共同開発している」

「距離情報を得る技術の活用場所が広がっている中で、いずれは“社会の目”となれるよう視野を広く持っている。今は形になったソリューションから世に順次出しており、それらが少しずつつながってきた。(目標実現への)スピードを上げるためにも、互いに強みを生かせる企業と組んでいく方針だ」

キヤノン イメージソリューション事業本部副事業本部長・枝窪弘雄氏

【チェックポイント/情報網の積極活用カギ】

キヤノンは展示会への出展や、工場向けソリューションの提案活動を通じて自社技術の需要を探ってきた。日本電産シンポへの提案も的確なターゲット設定が実現につながったという。新型コロナウイルス感染症の影響でアピールの場は減っているが、主力の事務機器事業は数多くの企業と接点を持っている。自動化・省人化で映像活用の需要拡大が見込まれる中、これまで築いた情報網の積極的な活用が自社技術の普及のカギになりそうだ。

日刊工業新聞2020年11月10日

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