「広告 × 販促 × 店頭」を連動、フェズがリテールテックの新形態に挑戦
小売業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるスタートアップのフェズ(東京都千代田区、伊丹順平社長)は14日、小売りなどの売り上げ要素を向上させる「セールスリフト」を実現する独自のプラットフォーム「Urumo OMO」の提供を同日から始めたと発表した。当面はドラッグストア向けに展開し、店舗の購買や来店効率の向上などを支援する。伊丹社長は、「ドラッグストアの店舗は全国に約2万店ある。このうち約1万4000店がチェーン店で、ここでの導入を目指したい」と話している。
「Urumo OMO」は小売業界においてオンラインデータに加え、オフラインにおける実店舗の購買データや位置データ、店頭データから“逆算”することにより、小売などのセールスリフトの実現を目指すプラットフォーム。オンラインとオフラインの施策を連動することで、効果を最大化する。
フェズによると、「Urumo OMO」は従来の認知やリーチを重視するマスマーケティングの手法に対し、購買データや位置データ、店頭データに基き、小売業界に精通した独自の分析ロジックを構築することで、戦略および施策を提案する。これまで実現することが難しかったオフラインでの購買行動を捉え、新規顧客への来店・購買促進や既存顧客へのアップセルを狙った購買促進を、「広告 × 販促 × 店頭」を連動することにより、消費者接点の全体最適化を図る。
従来、消費行動の起点は、企業からオンラインデータを活用してオフラインに送客する「O2O(Online to Offline)」が基本だったが、情報があふれる現代社会ではその構図は逆転。購買行動は消費者が主導となり、消費者がオンラインとオフラインを自由に行き来する「OMO(Online Merges with Offline)」へと変化したという。さらには新型コロナウイルスの影響もあり、消費行動は大きな転換点を迎えている。
サービスの内容は、ドラッグストアをはじめとする複数の企業とパートナーシップを組み、それらから入手した購買データや位置データなどをもとに、テレビCMや動画広告、ポイント制度を打ち出すことで消費行動を促進し、セールスリフトの効果を最大化する。
その取り組みの中では、国内最大級の購買位置データを活用した広告配信で来店から購買までつなぎ、セールスリフトを実現する「Urumo DSP」や、機械学習を活用して消費者の購買タイミングを予測することで、その人の購買行動にあった情報の提供を可能とする「Urumo MA」といった、小売業界を支援するサービスも実施される。
伊丹社長は小売の現場を見てきた原体験を背景にフェズを創設したことに触れ、「セールスリフトを実現させ、小売業界の変革パートナーとして日本の消費を元気にしたい」と意気込んだ。
フェズは8月にニッセイ・キャピタルなどから総額約6億3000万円の資金調達を発表している。