コロナ禍で子育て世代は「野菜不足」のなぜ? 緊急事態宣言が生んだ変化

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健康アドバイス事業、健康情報の発信事業に取り組むリンクアンドコミュニケーション(東京都千代田区、渡辺敏成社長)は、「新型コロナウイルスの感染拡大による生活習慣の変化」に関する調査を実施し、緊急事態宣言期間中に「子どもの世話」をする時間が増えた人々に着目し、分析を行った。そこからはコロナ禍における”子育て世代”の実態が見えてきた。

時間の使い方の変化

「子どもの世話をする時間」が2時間以上増えた人のうち、30~40代が全体の8割。特に30代は、増えていない人に比べて1.6倍多い結果となった。一方、2時間以上増えた50代は増えていない人の半分の割合で、子育て世代の30代と、子どもが自立しているであろう50代以上で差が出る結果となった。

また、「子どもの世話をする時間」が2時間以上増えた人は、コロナ感染拡大前に比べて家事をする時間が多くなる傾向が見られた。一方で「労働時間」は大幅に減少し、余暇や趣味の時間などを含む「その他」も減少傾向。「子どもの世話をする時間」が2時間以上増えていない人は、2時間以上増えた人に比べて時間の使い方に大きな変化は見られなかった。

仕事をする時間を「6時間以上」「6時間未満」「0分(仕事をしていない)」の3つに分類し、コロナ感染拡大前と緊急事態宣言中でそれぞれの人数を調査したところ、コロナ感染拡大前に1日6時間以上仕事をしていた人は206人から78人に減少。反対に仕事時間が0分(仕事をしていない)の人は76人から182人と、2.4倍増加した。

一方、「子どもの世話をする時間」が2時間以上増えていない人では、1日6時間以上仕事をしていた人がわずかに減少し、仕事時間が0分(仕事をしていない)の人がわずかに増加したが、コロナ感染拡大前から緊急事態宣言期間中の大きな変化がなかった。つまり、仕事を削って子育てをしている可能性が考えられる。

メンタル不安

「子どもの世話をする時間」が2時間以上増えた人で勤務時間別にメンタル不安の割合を調べると、子どもの世話の時間が増えていない人も含め、全体では44.7%の人にメンタル不安があったのに対し、「仕事をしていない」人は12.4ポイント高い57.1%の人にメンタル不安のリスクがあることが分かった。子育てに忙殺される中で、仕事や今後の生活の見通しが立たないことを不安に感じているのかもしれない。その一方で、緊急事態宣言中も「仕事を6時間以上」している人では、全体より6.2ポイント低い38.5%と、メンタル不安の割合が少ないことも分かった。

「子どもの世話をする時間」が2時間以上増えていない人でも勤務時間別にメンタル不安の割合を調べた。仕事6時間以上の人、仕事が6時間未満の人のメンタル不安は、2時間以上増えた人の調査結果と大きく変わっていないが、仕事をしていない人のメンタル不安の数値は子供の世話が増えている人に比べて7.5ポイント低いことが判明した。ただし、子育てが増えた人の結果と同様に仕事をしている人よりは不安の割合が大きいのが分かる。

野菜の摂取量の変化

緊急事態宣言中に「子どもの世話をする時間」が2時間以上増えた人の、2月と4月の野菜の摂取量を比較した。野菜の摂取量について、14%の人が1/2SV(サービング、35g)程度減少し、13%の人が1SV(70g)以上減少していた。子どもの世話をする時間が増えた家庭の約3割で、野菜摂取量が減少していたことが分かる。

「子どもの世話をする時間」が増えた人は、子どもの好きなものを作ることが多くなった、1品で済ませられる食事が増えたなどの理由で、野菜の摂取量が減ったことが推測される。

専門家からの意見

京都大学 近藤尚己教授(医師・医学博士)

子育て時間が2時間以上と大幅に増えた人の中には、仕事ができない、あるいは仕事がないことへの不安を抱えている人が一定以上いることがわかったのは重要な発見だと思います。コロナ禍で保育時間を短縮せざるを得ない保育園等の話を聴きます。
 保育園であずけられないために、職を失ったり、仕事時間を減らすことでストレスを感じているのかもしれません。仕事が減った方の収入減少がどれくらいあったか、などについて、追加で検討してみることも大切だと思います。また、保育園の受け入れ状況も次第に変化していると考えられますので、継続的にこのような評価をして、状況把握していくことで、子育て支援の施策等を検討する材料になると思います。

京都大学 近藤尚己教授
女子栄養大学 武見ゆかり教授 (管理栄養士・栄養学博士)

今回の解析から、子どもを世話する時間が増えた人では、野菜摂取量が増えた人より、減少した人の割合が高いことが示されました。全体(215人) の集計では、野菜摂取量が1/2SVまたは1SV以上増えた人は合せて22%、逆に1/2SVまたは1SV以上減った人は23%だったそうですから、子どもの世話に時間をとられるようになった方は、それ以外の人に比べ、ご自身の食事への配慮がしにくかった、できなかった忙しい生活の様子が推察されます。
 懸念されるのは、ご自身だけでなく、子どもの食事も同じで、野菜摂取不足が起きているのではないかという点です。
 スーパーマーケット等で野菜の惣菜を買ってきても良いでしょう。手間をかけずにまずは、朝・昼・夕食の1回だけでよいので、食卓に「プラス1皿」することを心がけていただきたいと思います。

女子栄養大学 武見ゆかり教授

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