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塩野義製薬の分社から1年半経過のシオノギファーマ、会社組織としての自覚

塩野義製薬の分社から1年半経過のシオノギファーマ、会社組織としての自覚

画像はイメージ

医薬品の開発・製造受託、前面に

シオノギファーマ(大阪府摂津市、久米龍一社長、06・6381・7341)は2019年4月、塩野義製薬から分社化で設立された。原薬や製剤の開発・製造に加え、品質管理や生産設備を支えるエンジニアリング事業など幅広いモノづくりを実現する。「お役立ち精神」を掲げ、顧客の要望をくみ取り提案できる人材育成に力を入れる。久米社長に事業方針を聞いた。(大阪・中野恵美子)

―シオノギファーマの強みとは。

「当社は塩野義グループ向けの製造受託、特許が切れた長期収載品の製造販売、外部企業向けの受託という三つの柱を据える。特に医薬品の開発・製造受託を担う『CDMO』として外部への認知を上げたい。個別の受託は高価格でも全体的な事業を提案することで、コスト低減やサービスレベル向上につなげられる」

―外部との提携も目立ちます。

「新型コロナウイルス感染症ワクチンでは、塩野義製薬のほか、アンジェスなどによる開発品について一部生産を担う。希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の原薬合成も引き合いがある。このほどホソカワミクロンとも提携した。同社が設計開発したナノ粒子について、医薬品に適した製造・品質管理を行い、臨床試験薬などを製造する。医薬品へのこだわりが強いが、枠を広げ医療分野全体に技術を提供したい」

―企業風土の変革に重点を置いています。

「塩野義製薬の生産本部としての位置付けから会社組織となり、マインドを変えなくてはならない。経営者、技術者、生産現場のオペレーターに対し、育成方針を定めた。塩野義グループとも連携する。役員や本部長クラス向けに勉強会を開いている。技術者はオン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)が中心だ。当社は技術者が多いという強みを生かし、製品やサービスを高付加価値化する」

―生産現場の技能向上のカギは何ですか。

「オペレーターについて、複数の技能を習得する多能工化を進めている。試行錯誤を経て、20年度からは時間当たりのスキルアップ管理を本格化した。多能工化は事業継続計画(BCP)にもつながる。新型コロナ拡大の影響を受けても業務をこなせる体制を整備しておくことが重要だ」

【ポイント/技術発展、独自の価値を】

技術開発型モノづくり企業として、さらなる事業成長を目指すシオノギファーマ。塩野義製薬による分社化から約1年半が経過し、「転換期にある」(久米社長)と捉える。経営力や技術力に磨きをかける一方で、企業風土の変革にかじを切った。塩野義製薬としても子会社に在籍させることで経営感覚を培い、将来のグループ経営幹部の育成を目指している。これまで蓄積してきた医薬品生産技術を発展させ、独自の価値を創造する。

日刊工業新聞2020年9月17日

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