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リールの芯に段ボール、脱プラ・再生・軽量ニーズに対応

リールの芯に段ボール、脱プラ・再生・軽量ニーズに対応

カミコーのダンリール。芯に段ボールを使い軽量化や強度向上につなげた

カミコー(神奈川県愛川町、小島明子社長、046・281・2622)は、リードフレームやコネクターといった電子部品やケーブルを巻き取って搬送できる段ボール製リール「ダンリール」の提案に力を入れている。

従来はコネクター用が中心だったが、昨今の自動車関連の落ち込みを受けて電線やゴムホース、タイミングベルトなど幅広い分野での採用を狙う。脱プラスチック、リサイクル、軽量といったニーズに応える製品だ。

カミコーは1969年に創業。一般的な段ボール箱を製造してきた。転機は94年で、コネクター関連企業から「段ボール製リールを作らないか」と声がかかり、段ボール製リールの製造を開始した。段ボールシートの仕入れルート、型を打ち抜く機械類、設計や加工に必要な人材がそろっていたことで、迅速に対応できたという。

当初、芯に紙管という薄い紙を貼り合わせた材料を使っていた。だが、用途に合わせてサイズの異なる紙管の在庫品を抱える必要があり、「いっそ手近な段ボールに切り替えたら」(小島社長)と、段ボールを丸めた芯を使うことにした。

今でも紙管を芯に使うリールが一般的ではあるが、段ボールに芯を替えたところ、芯の内製化が可能になっただけでなく、軽量化や接着強度の向上といった利点が生じた。段ボール製リールは芯とフランジ(突縁)が外れて製品ロスになるケースがある。同社の段ボール芯は「波形の板紙の部分に接着剤がなじむ上に紙管より接着面が広くなる」(同)ため、接着強度が高まるとみられる。

さらに、紙管は段ボールと同じルートではリサイクルできず、利用者が分別する必要がある。段ボール芯なら分別は不要だ。

ダンリールは受注生産で、利用者が望む仕様で提供する。欧州特定有害物質規制(RoHS)にも準拠している。小島社長は「木製、金属製、樹脂製のリールからの移行需要を狙っている」と語る。(相模支局長・石橋弘彰)

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