新商品開発がほとんど白紙になったセブン、コンビニ業界はウィズコロナの“売れ筋"探しを競う

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新型コロナで健康志向が高まり、サラダの売り行きは好調(セブン―イレブンの総菜売り場)

小売業は新型コロナウイルス感染拡大の影響を真っ先に受けた業界の一つだ。緊急事態宣言が発出された際には、百貨店が自主休業に踏み切る一方、スーパーマーケットやコンビニエンスストアは社会インフラとして営業を継続した。その中で来店客数や消費行動も変化し、小売業は対応と変革を余儀なくされたが、特に毎週新商品を発売するコンビニは即座に商品戦略の見直しに動いた。

「当初組んでいた各店舗への推奨計画や新商品開発のスケジュールは、ほとんどゼロベースになった」と、セブン―イレブン・ジャパンの高橋広隆取締役商品部長は明かす。

これまで安定して売れていた、主力商品のおにぎりやサンドイッチ、ソフトドリンク。それが新型コロナの感染拡大で多くの人が外出を控えた途端、販売が激減。「今までの商品では通用しない」(高橋取締役)と、同社は急きょ、食品メーカーとオンライン会議で議論を重ねた。

その間も、消費行動は目まぐるしく変化する。初期の買いだめ需要、自粛慣れや自粛に飽きた時の需要、そしてニューノーマル(新常態)の需要―。限られた議論の中で決まった一つが、健康軸を打ち出した商品群の再編集だ。すぐさま品ぞろえや商品内容の一部を変更した。ニューノーマルに持続的に対応できる商品として、野菜を増やしたカレーやタンパク質量が多いサラダを市場投入した。

一方、全国10エリアに配置する商品開発部隊には、外食店の休業により納入が滞っている食材や、取引が中断して困っている生産者を調査するよう指示。それらの食材を活用した第1弾として、秋田県の比内地鶏を使った親子丼を東北限定で発売した。通常の親子丼に比べて300円ほど高値だったにもかかわらず「地域支援を思うお客さまが多く飛ぶように売れた」(同)という。競合するコンビニでも、生産者を支え食品廃棄を減らすため、地域食材を使った商品が増えている。

テレワークがこのまま定着すれば、オフィスの昼食需要が以前の水準に戻るとは限らない。市場環境が大きく変化する中、コンビニという業態が勝ち残るためには、「スーパーやネット、産直などの他業態にない付加価値ある商材を発信、提供し続けることが必要不可欠」と、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの高橋千枝子チーフコンサルタントは話す。

そして「コンビニに行けば常に新しくて面白い」と思ってもらえることが大事とも指摘する。無人化や電子マネー、オンライン接客などへの取り組みとともに、コンビニが持つ独自性やスピードある変化対応力が、改めて求められている。

(取材・丸山美和)

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