「無菌」のロボットで感染防止、ビジネスチャンスをつかんだベンチャー

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QBIT Robotics導入事例(同社公式サイトより)

新型コロナウイルスの感染拡大が起きてから、ロボットベンチャーであるキュービットロボティクス(東京都千代田区)の商品展開が加速している。もともと売り上げの柱は飲食店用接客ロボットだったが、コロナ需要をにらみ自律走行できる消毒ロボや配膳ロボ、発熱者やマスク有無を判別する人工知能(AI)カメラなどを矢継ぎ早に発売した。スピーディーな商品開発ができた理由と今後の戦略を中野浩也社長に聞いた。

―5月下旬からコロナ関連のロボを相次ぎ商品化できた理由は。

「外出や営業自粛で大半の飲食店が閉店になり、外食が主要顧客だった当社も何らかの対策を立てる必要に迫られた。日本よりコロナ発生が先行した中国・武漢市でロボの食事配達や建物消毒が行われている映像を見て、当社でもできないかと考えた。実際にやってみると意外と簡単にできることがわかった。AIや監視カメラ技術はすでに社内にあり、ロボや機器を操縦するコントローラー技術がカギになるが、それも社内で対応できた。配膳ロボや消毒ロボ、それぞれ40―50件の引き合いが来ている」

―コロナで例年春先に行っている多くの展示会が中止になりました。展示会で新商品を発表する従来のビジネススタイルが変わりつつあるのでは。

「展示会の多くが中止になり、二次感染を考えると秋以降も開催は期待できない。これまでの顧客データをもとにいろいろなメールや動画セミナーを行ったところ、思っていた以上の反響があった。ネットやオンラインでも結構、営業はできると感じた。接客ロボで知名度がそれなりに上がったため、外食や海外から当社への売り込みもかなりある」

―居酒屋などは営業を再開したものの、3密防止や消費者の警戒心もあり以前の姿には戻っていません。外食の将来像はどのように変わると見ていますか。ロボにもたらす影響は。

「コロナはロボに、感染防止や無菌などの新たな好イメージを植え付けた。セントラルキッチンで基本食材をつくり、個々の店で加熱調理して出す傾向はさらに強まると見ている。食材も揚げ物は油鍋が不可欠だったが、最近は冷凍食品で油をスプレーし、レンジ加熱すればそのまま提供できるメンチカツやコロッケが増えている。ロボにとって導入の障害だった油汚れ対策や水対策、高温対策などが不要になり、可能性はますます増える」


【記者の目/ロボビジネス 未来見据える】

キュービットロボティクスは森トラストや豊田合成、UCCホールディングスと資本提携するほか、居酒屋チェーンの養老乃瀧とロボ居酒屋実験を進めている。外食店の営業自粛と展示会中止で多くのロボ案件が延期に追い込まれたが「キャンセルは出ていない」(中野社長)という。店舗営業が徐々に平常化する夏秋とその先の未来。中野社長は両方を見据えているようだ。(編集委員・嶋田歩)

キュービットロボティクス社長・中野浩也氏

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