「東京宣言」で外国人材の人権侵害を防ぐ、トヨタなど大手企業が賛同

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日本の非政府組織(NGO)が、外国人労働者の人権を保護する原則「東京宣言2020」を発表し、トヨタ自動車やアシックスなどが賛同した。人手不足の影響で外国人労働者を受け入れる日本企業が増えているが、いつの間にか人権侵害に加担したと批判される場合がある。NGOは取引先とも宣言を共有し、サプライチェーン(供給網)から人権リスクを排除するように呼びかけている。

供給網維持の「常識」

宣言を発表したNGOは、ザ・グローバル・アライアンス・フォー・サステイナブル・サプライチェーン(ASSC、川崎市高津区)。労働問題の専門家らが2017年に設立し、CSRの動向に詳しい藤井敏彦内閣審議官が名誉顧問を務める。味の素や帝人、トヨタ、イオンなどが会員だ。

ASSCは4月、東京宣言を発表した。内容を説明するオンラインセミナーを開くと企業関係者70人以上が聴講した。その宣言は13項目ある。外国人労働者の身分証明書は本人が管理可能(宣言6)、寄宿舎などからの外出を制限しない(宣言10)、渡航費は使用者が支払う(宣言13)など、具体策に書き込まれている。ASSCの森翔人理事は「企業から活用できる宣言にしてほしいと要望があり、行動を起こせる文章にした」と語る。

企業の認識ギャップに警鐘

宣言を策定した背景に、日本と海外との人権問題への認識のギャップがある。日本の職場で人権侵害と言えばハラスメントが思い浮かぶが、海外では人身売買や強制労働も問題視する。どちらも日本では連想しにくいが、海外の常識からすると日本企業が人身売買や強制労働に関与したとみなされる恐れがある。

例えば、外国人労働者が来日の窓口となった代理人に手数料を支払うと人身売買に当たる。来日後も手数料を支払い続ければ、借金返済のため働かせている強制労働と同じだ。日本企業は労働者が代理人に手数料を支払ったと知らなくても、海外からは「人身売買に加担した」と映る。企業の影響力が強いと考えるためだ。

企業と労働者の両方から手数料をとる代理人も存在する。さらにブローカーが何人も介在し、金銭が二重、三重とやりとりさる場合もあるが、日本企業は代理人の不正にまで注意が向かない。

ASSCは宣言3で「外国人労働者に採用手数料および関連する費用を負担させてはなりません」と明確に書いた。

外国人労働者の受け入れに不慣れな企業も宣言を参考にすると、思わぬ人権侵害を回避できる。

森理事は大企業に対し「宣言をサプライヤーと対話する根拠にしてほしい」と呼びかける。取引先にも宣言を紹介することで、サプライチェーンから人権侵害のリスクを排除できるからだ。

英国で15年、企業に人身売買や強制労働の防止策を求める「現代奴隷法」が施行されるなど、海外では労働者問題への関心が高い。日本で働く外国人は19年に165万人となり、10年前の3倍に増加した。国内の意識が低いと「日本で働きたいと思う外国人が減るリスクがあり、労働力不足が深刻化する」(森理事)と警鐘を鳴らす。

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