コロナに強いアジア!?経済再生へ早くも外資誘致へ動く

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bcasingapore公式インスタグラムより

新型コロナウイルス感染が世界的に猛威を振るう中、アジア各国では感染がピークを越え、経済活動の再開が徐々に目立ち始めた。国内経済立て直しや進出外資企業への支援策を打ち出す一方、外国人労働者の就労再開や外資企業誘致に向けた再取り組みも始まりつつある。(浅野文重)

シンガポール建設庁(BCA)は新型コロナ感染防止で停止していた建設活動を6月2日から段階的に再開することを決めた。同国では輸送など生活に求められるサービスや製造業以外の職場を4月7日から閉鎖。建設に関与する労働力の約5%は現在も必要不可欠なインフラ工事に従事しているが、同2日からはさらに現場に5%が復帰。MRT(地下鉄・電車)、最深下水トンネルシステムなど工期順守が必要な工事などに優先従事する。同国の建設現場ではバングラデシュなど海外からの労働者が多く働き、居住環境の問題などから新型コロナ感染の第2波に襲われた。BCAは順次の再開に当たっては、労働者の健康チェック、チーム分けなど雇用主に予防策実施を条件とするという。

インド政府は、17日までとしていたロックダウン(都市封鎖)を31日まで延長した。ただ、工業団地などに進出する進出外資系製造企業にとって課題となっていた州を越える乗用車・バスの移動は認可され、州政府同士の合意が図れれば可能となる。国内向けでは総額20兆ルピー(約28兆円)に上る経済対策を打ち出した。中小企業、出稼ぎ労働者、農家、石炭、電力など幅広い分野を包括している。IT産業立地で有名なカルナタカ州政府は中国に生産拠点を持つ外資系企業を対象に、同州への生産拠点誘致に向け特別投資促進対策委員会設置を決めた。

フィリピンでは外資系企業の製造拠点となる工業団地での支援策を打ち出している。経済特区庁(PEZA)は新型コロナ禍の影響を受けた入居企業に2カ月分の賃料支払いについて、90日間の猶予期間を設定。電気、水道、下水処理の公共料金支払いも30日間猶予する。PEZAのプラザ長官は「外出禁止や公共交通機関停止といった広域隔離措置の解除後、PEZAが取るべきさまざまな計画を検討する」としている。

都市封鎖を実施したタイ政府は4月19日、テレビ会議など電子システム利用の会議開催基準を緩和、海外からの会議参加を可能とした。15日には、参加人数制限付きとはいえ、ホテル内の会議室・会議場の営業再開も許可、経済活動は緩和されつつある。

一方、経済悪化が深刻なインドネシアは状況が他国と異なる。国会は4月、外資誘致を目的とした新法案の審議を見送ることにした。新型コロナ禍のあおりで雇用環境が急速に悪化したため、解雇を容易にするなどの法案内容に労働組合が反発。ジョコ大統領は労働者の意向に配慮し、法案修正に言及した。

新型コロナ感染は収束の時期が見えにくく、年をまたぐ周期的な感染期発生予測もある。アジア各国は外資誘致を経済復興・成長の有力手段としているだけに、その新戦略立案には難しさが伴いそうだ。

シンガポールのプンゴル通りに面する外国人労働者の寄宿舎(1日当たりの新規感染者が初めて1000人を超えた4月20日、ブルームバーグ)

日刊工業新聞2020年5月21日

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