日産の赤字はどこまで膨らむのか?新型コロナの販売減で営業利益は900億円下振れ

新しい中計で追加リストラ必至

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年500万台の販売を基本にリストラを進める計画の日産(内田誠社長)

2020年3月期連結業績の当期損益が従来予想より1500億―1600億円程度悪化し、赤字になる見通しの日産自動車。従来予想は前期比79・6%減の650億円だった。当期赤字はリーマン・ショックの影響を受けた09年3月期以来、11年ぶり。新型コロナウイルス感染拡大の影響で販売が低迷した。

営業損益も同1200億―1300億円程度下振れし、赤字転落の可能性があるとした。従来予想は同73・3%減の850億円。新型コロナによる販売減で約900億円の下押しを見込む。同社では現在、中期経営計画の見直しを進めている。そのため、追加的な引当金を計上する可能性があるとしており、さらに赤字幅が広がる可能性もある。

同社は米国での販売低迷などを受け、2月に2度目の業績予想の下方修正を発表。再建に向け中計の策定を進めており、20年3月期決算と中計を5月28日に発表する予定だ。

2022年度までの中計の策定作業はこれから大詰めを迎える。以前からの販売苦戦に加え、新型コロナウイルスの感染拡大により世界的に市場が落ち込む厳しい状況にあり、大規模な構造改革が不可欠だ。事業の選択・集中を進め、世界販売で500万台水準に身の丈を縮める方向で検討が進む。一方、元会長カルロス・ゴーン被告の退場後、いまだ長期ビジョンを描けないことも課題として残る。新中計で業績回復の道筋を示し、自動車メーカーとしての存在意義を再定義できるか。

「世界販売500万台の自動車メーカーだと認識し、生産や販売の“門構え”を小さくしていくしかない」―。日産幹部は経営立て直しの方向性についてこう話す。日産は17年11月に公表した22年度までの中計を19年7月に見直した。しかし、その後も加速する業績悪化を受け、同12月に内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)が、再度の見直しに着手し、5月に発表する方針を示した。足元では新型コロナ感染問題による世界規模の需要減で事業環境は厳しさを増しており、リストラ策の積み増しが避けられない情勢にある。

19年7月までに公表した事業改革では、世界生産能力について720万台(18年度)を22年度に660万台に減らす計画を示した。足元では今の実体に合わせ500万台水準を射程にさらなる引き下げの検討が進む。日産の固定費は約2兆円規模。500万台水準で再出発するのであれば、「計算上は固定費を2000億―3000億円減らさないといけない」(日産幹部)。内田社長は「(事業展開を)断念せざるを得ないような地域や分野が出てくるかもしれない」と覚悟を示す。

日刊工業新聞2020年4月29日の記事を加筆

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