なぜ日産ばかり?16日にも追浜・栃木のライン一部停止

コスト優先、供給網で弱点露呈

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日産の追浜工場

日産自動車が新型コロナウイルスの感染拡大で中国からの部品の調達が滞っているため、16日以降に日本にある工場の一部で車両の組み立て生産を止める方向で調整していることが分かった。関係者によれば、追浜工場(神奈川県横須賀市)は16―17日に車両の組み立てラインを停止し、栃木工場(栃木県上三川町)は16日に車両の組み立てラインを停止する方針。日産自動車九州の工場(福岡県苅田町)では19―20日、23―24日に車両の組み立て2ラインで夜間稼働をなくす計画。約3000台以上の減産になる見込み。「中国から空輸する部品が物流網の乱れなどで十分に届いていないため」(関係者)としている。

中国湖北省の省政府は10日まで企業に休業期間の延長を要請していた。11日以降、一部の部品メーカーは生産を始めたものの、従業員が集まらないなどによりフル稼働には達していない状況だ。同省にある完成車メーカーも稼働を落としている。

その中で、日産は日本の国内工場で湖北省から部品を調達しており、通常通りの車両生産を進めたい考え。そのため、「部品メーカーに一定量の部品生産を要請している」(同)という。輸送手段は通常は船で運ぶが、運搬予定が混乱しているため一部の部品は空路で輸入する計画だった。しかし、日産の中国内にある倉庫で空輸するための包装作業が逼迫(ひっぱく)していることに加え、輸送便の欠航などにより予定通りの輸入できなかった模様だ。

追浜工場は電気自動車(EV)「リーフ」などを生産する。栃木工場は高級ブランド「インフィニティ」の車種を生産する。九州工場は主力のスポーツ多目的車(SUV)「エクストレイル」などを生産する。日産の広報担当者は「コメントできない」としている。

日刊工業新聞電子版2020年3月13日

COMMENT

なぜ日産ばかりが日本の工場に大きな影響が出てしまうかと言えば、「コストを優先して複雑なサプライチェーン(供給網)になっているため」(業界関係者)という分析を聞いたことがある。他社と比べると、同じサプライチェーンであっても単純な調達コストのみを優先し、中国の部品メーカーを利用したり、輸送経路が複雑でリスク分散されていなかったりするというのだ。基本的には「地産地消」と部品を含めて現地化が進んでいる車業界。しかし、日産と取引がある1次サプライヤーが国内生産向けで、本当は日本メーカーの部材を使いたかったものの、コストを勘案して中国内陸の2次、3次サプライヤーを利用することを日産に勧められることもあったそうだ。そのため、日産関係者は「サプライヤーに厳しいコストプレッシャーを与えてきたバチがあたったかもしれませんね…」と今になって打ち明ける。これは前会長のカルロス・ゴーン氏の主導下でコスト主義を進めてきた日産にとって根深い問題と言える。業績が悪化し、コストを減らさなければいけない今のタイミングだからこそ、目の前の損得だけでなく、事業継続計画(BCP)や事業継続マネジメント(BCM)のさらなる改善も意識してほしいと願う。ちなみに冒頭の関係者によれば、「トヨタは自らがサプライチェーンのグリップを握り、ホンダはメガサプライヤーとサプライチェーンの構築に注力している」という。サプライチェーンにもメーカーごとの色が出るようだ。

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