日産のエンジンまで生産する部品メーカー、さらに高まる存在感
愛知機械、小型車だけでなく中型車へも供給
**酒井寿治社長インタビュー
―日産自動車の全額出資子会社としてエンジン生産の一翼を担っています。
「日産は国内生産100万台の維持を掲げる。これに対し愛知機械工業の2016年度のエンジン生産は中・小型を中心に約57万台。17年度も同程度の生産規模を予定する」
―日産は小型車「ノート」の販売が好調です。
「当社も『ノート』向けにエンジンや増・減速機と呼ぶ部品を供給しており、生産ラインはフル稼働状態だ。特に増・減速機ではボトルネックの鋳造工程を強化するため、今夏に予定していた松阪工場(三重県松阪市)での設備増設を半年間前倒しして2月に実施した」
―新たな中期経営計画を始めます。
「16年度までの4カ年計画では年間売上高1000億円超を安定的に確保できる体質になった。今後は日産の国内生産100万台への貢献と、三菱自動車を含むルノー・日産連合のアジア地域でのモノづくりへの貢献という二つの軸を持って経営する」
―日産は電気自動車(EV)普及を進めています。内燃機関メーカーとして危機感は。
「確かに日産の研究開発の軸はEVや自動運転などにシフトしている。しかし世界市場全体で見ればまだ既存のガソリン車やディーゼル車は伸びる。ルノー・日産連合における当社への期待は既存の車のエンジンや手動変速機(MT)の改良。当社のコアは今後も変わらない」
日産自動車は2018年後半にも生産を始める新型軽自動車に搭載するエンジンの開発を、子会社の愛知機械工業(名古屋市熱田区)に委託する。小型エンジンに強い愛知機械のノウハウを活用し、日産本体は環境や安全技術の開発に集中する。トヨタ自動車もディーゼルエンジンの開発・生産を豊田自動織機に集約する。次世代車技術を巡る競争が加速する中、グループ内で役割分担し、経営資源を効率的に活用する動きが広がっている。
日産が軽用エンジンを開発するのは初めて。排気量1000cc超の小型エンジンの開発・生産を手がけてきた愛知機械のノウハウを活用して新エンジンを開発する。日産は中・大型のエンジンのほか、電気自動車(EV)や自動運転をはじめとする先端技術の開発に資源を投じる。
新型軽は提携先の三菱自動車が開発・生産する現行「デイズ(日産名)」「eK(三菱自名)」の後継モデルにあたる。開発は日産が担当し、車両生産は三菱自の水島製作所(岡山県倉敷市)で行う。エンジンの生産拠点は検討中。
自動運転など次世代自動車技術の開発競争は激化している。このため完成車メーカーの開発領域が広がり、1社で大半を担う従来体制のままでは、競争に勝ち抜くのは難しい。
トヨタもディーゼルエンジンや、手動変速機(MT)、ブレーキの各事業をグループ内の部品メーカーに集約する方針を決めている。限られた資源を有効活用すべく、日産やトヨタのように子会社や関連会社に開発を任せる動きは増える見通し。グループの再編にも発展しそうだ。
<関連記事>
大手自動車メーカーも注目、「工場改革」のキーマン
―日産自動車の全額出資子会社としてエンジン生産の一翼を担っています。
「日産は国内生産100万台の維持を掲げる。これに対し愛知機械工業の2016年度のエンジン生産は中・小型を中心に約57万台。17年度も同程度の生産規模を予定する」
―日産は小型車「ノート」の販売が好調です。
「当社も『ノート』向けにエンジンや増・減速機と呼ぶ部品を供給しており、生産ラインはフル稼働状態だ。特に増・減速機ではボトルネックの鋳造工程を強化するため、今夏に予定していた松阪工場(三重県松阪市)での設備増設を半年間前倒しして2月に実施した」
―新たな中期経営計画を始めます。
「16年度までの4カ年計画では年間売上高1000億円超を安定的に確保できる体質になった。今後は日産の国内生産100万台への貢献と、三菱自動車を含むルノー・日産連合のアジア地域でのモノづくりへの貢献という二つの軸を持って経営する」
―日産は電気自動車(EV)普及を進めています。内燃機関メーカーとして危機感は。
「確かに日産の研究開発の軸はEVや自動運転などにシフトしている。しかし世界市場全体で見ればまだ既存のガソリン車やディーゼル車は伸びる。ルノー・日産連合における当社への期待は既存の車のエンジンや手動変速機(MT)の改良。当社のコアは今後も変わらない」
日刊工業新聞2017年3月29日
日産、軽エンジン開発を愛知機械に委託
日産自動車は2018年後半にも生産を始める新型軽自動車に搭載するエンジンの開発を、子会社の愛知機械工業(名古屋市熱田区)に委託する。小型エンジンに強い愛知機械のノウハウを活用し、日産本体は環境や安全技術の開発に集中する。トヨタ自動車もディーゼルエンジンの開発・生産を豊田自動織機に集約する。次世代車技術を巡る競争が加速する中、グループ内で役割分担し、経営資源を効率的に活用する動きが広がっている。
日産が軽用エンジンを開発するのは初めて。排気量1000cc超の小型エンジンの開発・生産を手がけてきた愛知機械のノウハウを活用して新エンジンを開発する。日産は中・大型のエンジンのほか、電気自動車(EV)や自動運転をはじめとする先端技術の開発に資源を投じる。
新型軽は提携先の三菱自動車が開発・生産する現行「デイズ(日産名)」「eK(三菱自名)」の後継モデルにあたる。開発は日産が担当し、車両生産は三菱自の水島製作所(岡山県倉敷市)で行う。エンジンの生産拠点は検討中。
自動運転など次世代自動車技術の開発競争は激化している。このため完成車メーカーの開発領域が広がり、1社で大半を担う従来体制のままでは、競争に勝ち抜くのは難しい。
トヨタもディーゼルエンジンや、手動変速機(MT)、ブレーキの各事業をグループ内の部品メーカーに集約する方針を決めている。限られた資源を有効活用すべく、日産やトヨタのように子会社や関連会社に開発を任せる動きは増える見通し。グループの再編にも発展しそうだ。
日刊工業新聞2016年7月21日
<関連記事>
大手自動車メーカーも注目、「工場改革」のキーマン