【新型コロナ】非接触で測定!需要高まる放射温度計
【津】SSC(三重県桑名市、服部一彌社長、0594・33・3080)は、新型コロナウイルス感染拡大を受け、顔やモノなどの表面温度を非接触で測定できる据え置き型放射温度計「測太郎(そくたろう)=写真」を開発、5月12日に発売する。消費税抜きの価格は9万9800円。初年度2000台の販売を見込む。
ポリカーボネートの板に高精度な温度センサーとデジタル温度表示器を組み込んだ。物体から放射される赤外線エネルギーを検知し、マイコンで表面温度を測定する仕組み。測定範囲は15―65度Cまで。設定温度を超えると、発光ダイオード(LED)が光って警告する。
事務所の机や受け付けカウンターの上に置けるスタンドタイプで、設置スペースは幅30センチ×奥行き18センチ×高さ40センチメートル。またオプションの専用タブレット端末を使えば、近距離無線通信「ブルートゥース」による温度の監視管理も可能。
販売は神奈川県を境とした西日本地域をSSC、東日本地域をマックスナーエレクトロニクス(東京都品川区)が担当する。両社はセンサーの設計製造を手がけるHME(三重県桑名市)のグループ会社。
日刊工業新聞2020年4月24日
新型コロナ/堀場、放射温度計2倍に コロナ向け需要で増産
【京都】堀場製作所は需要が拡大する非接触の放射温度計で、通常の2倍の増産体制を敷いたことを明らかにした。放射温度計は薬機法で定める医療機器の「体温計」ではない。このため体温計として使用できないが、新型コロナウイルスの感染拡大で人の体表面温度などの測定ニーズが多方面で高まっている。人員配置の変更で生産ラインの従業員を増員し、2交代制に変えて対応している。
放射温度計は物体表面が放射する赤外線を検出し温度を測る。対象に触れず、移動や回転などの状態にも左右されず、応答速度は速い。ハンディー型や設置型があり、一般的に電子基板の発熱、食品温度管理、多様な製造ライン、半導体などの製造分野で使われる。
2月以降、需要が増え始めた。3月に入って一気に増えたことから増産体制を敷いた。もともと2020年末までの約3年間累計で5000台の販売計画を立てたが、直近の販売数量が従来とケタ違いになった。3年間累計の販売目標は3月早々に達成。20年は1―4月末ですでに計1500台の販売を見込み、新たに1―12月の1年間で4000台販売する目標を掲げる。
このほか、医療システム機器事業の製品では、海外では検査ラボなどで、日本では開業医なども使うウイルスか細菌かの判定が可能な自動血球計数CRP(C反応性たんぱく質)測定装置の販売も増えている。新型コロナ感染者のスクリーニングや回復度合いを見る用途などで欧州で特に伸びている。
車向け計測機器や半導体産業向け機器、医用機器、環境、科学関連の測定機器など同社の事業は幅広い。同社の一番の事業継続計画(BCP)はマルチセグメントとし、多様な技術で社会の役に立てるとしている。