【新型コロナ】浴衣帯シェア9割を握る福井の織物企業が絹のマスクを生産開始!

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小杉織物(福井県坂井市、小杉秀則社長、0776・66・0255)が、絹製マスク(写真)の生産を始めた。新型コロナウイルス感染症対策で品薄が続くマスク。同社製品は袋状の4層生地に、不織布を使った5層構造。希望小売価格は消費税抜きで1枚当たり1500円。1日3000枚の生産をめどにフル稼働に入った。

同社は浴衣帯を国内で量産し、推定シェア9割を握る。2019年夏の天候不順や今春の卒業・入学式の自粛で、3月末に減産体制を余儀なくされた。苦境下でマスク製造を試したところ「当社で使っている糸や資材、高速織機でやれることが分かった」(小杉社長)。

肌にやさしい絹で、適度な通気性を持ち洗って使える。試作品を得意先に持ち込むと「遅いのでは?」と素っ気ない反応だったが、2時間後に6000枚の注文が入り、追加発注も舞い込んでいるという。(福井)

日刊工業新聞2020年4月15日

小杉織物・浴衣の帯でニッチトップ

加工内製、提案抜かりなく

胴と羽根が一体になった新型ワンタッチ帯(福井県坂井市の小杉織物)

夏を彩る浴衣が、小売店に並ぶ季節。近年は水着コーナーより活気ある印象だ。小杉織物は浴衣帯の国内シェア首位。国内生産にこだわるニッチトップ企業だ。本社のある福井県坂井市の丸岡町は繊維の伝統産地。同社はかつて下請けだったが、今では浴衣市場をけん引する。

【手頃な価格で】

この10年、競合は後継者難などから徐々に姿を消し、同社の浴衣帯シェアは推定9割超に高まった。社長の小杉秀則は「商品は価値に見合った値段が大事。いいものを高く売るのは誰でもできる」と持論を説く。浴衣本体やげた、小物類はすっかり海外に生産が移っただけに、小杉の言葉は特別な響きがある。

同社は年間150万―180万本の帯を製造販売。販路は呉服店もあるが、4割を占める主力はインターネット。若者に手頃な価格で和装品を提供する。商品企画とデザインはオリジナル。特殊構造は協力会社の手を一部借りるが、糸から後の加工は内製。原糸も中国から直接買い付け、国内工場で独自の高速織機を24時間、365日動かす。これが海外生産しても競合が容易に追随できない、コスト競争力の源泉だ。

【ワンタッチ機構】

2018年の目玉商品は新型のワンタッチ帯。従来のワンタッチ帯は胴と羽根の部分が別の2点構成だが、新商品は完全に一体化した。面ファスナーで留めて、次に胴ごと羽根を背面に回せば出来上がり。新方式は特許を出願。「これは10秒、本当のワンタッチ」と笑顔でPRする。首位だからこそ提案には手を抜かない。ワンタッチ帯は1000円程度から。同社の帯には数万円の商品もあるが、中心は300円程度からの手頃な品だ。

【祖父が起業】

帯の有名産地ブランドは、京都の西陣や群馬の桐生。それと比べ丸岡はやや地味。小杉織物は中でも小規模だった。理髪店を営んだ祖父が一念発起し起業した織物工場を出発点に、それを継いだ両親も工場を苦労して営み、子どもらを育てた。

小杉は10年ほど前から、多機能の織機を導入し浴衣帯だけでなく、着物の帯にも挑戦。絵柄の制作は格段に難しく自社デザイナーが試行錯誤中。少しずつ認知度を上げている。今では「和装分野は天職」と語るが、家業に魅力を感じないまま成長した。経営に関わってからも「脱和装がテーマ」だった。(敬称略)

▽所在地=福井県坂井市丸岡町猪爪5の3の1、0776・66・0255▽社長=小杉秀則氏▽従業員=115人▽設立=64年(昭39)1月▽資本金=1000万円▽売上高=約17億円(17年10月期)▽URL=https://kosugi-orimono.co.jp/

日刊工業新聞2018年4月17日

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