新型コロナと戦うスパコン、治療薬の臨床試験も

計算能力と人類の英知に期待

  • 1
  • 0
世界最速を達成したスパコン「サミット」

世界的な混乱を巻き起こしている新型コロナウイルス感染症に対して、スーパーコンピューターによる研究支援プロジェクトの立ち上げが国内外で相次いでいる。膨大な計算パワーと人類の英知を結集し、感染抑止や治療薬の開発促進に向けた貢献に期待したい。

すでに新型コロナ治療のために、インフルエンザ治療薬「アビガン」を用いた臨床試験なども始まり、効果や安全性の確認が急がれている。

スパコンの活用はこうした医療・創薬の研究活動を支援することにある。米エネルギー省はIBM製のスパコン「サミット」を用いて、新型コロナの感染に影響を及ぼす化合物のモデルを作り、宿主細胞に取り付いて感染する能力を弱める薬剤や天然化合物の発見で成果を出している。

スパコンのシミュレーション機能により、膨大なデータから治療に有益な薬剤や化合物などの候補を選別することで、開発時間の短縮化ができる。こうした活動を促進するため、米国では主要な国立研究機関とIBM、グーグル、マイクロソフトなどの大手IT企業が協力し、コンソーシアムを立ち上げた。

国内では理化学研究所が創薬専用スパコンを用いて、新型コロナの原因ウイルスの構造動態をシミュレーションし、生データを世界の創薬研究者に自由に利用してもらうように公開した。

デンソーは、カナダのDウエーブ・システムズが新型コロナ対策の支援で打ち出した「量子コンピューターの無償提供プロジェクト」への参画を決め、技術支援に名乗りを上げた。スパコンに続き、量子コンピューターの投入も始まり、サイバー空間でも新型コロナとの戦いが本格化する。国境を越えて連携の輪を広げてほしい。

(取材・斉藤実)

日刊工業新聞2020年4月6日

関連する記事はこちら

特集