「5G」「モビリティ」で電子部品どう変わる?大手メーカーのキーマンたちが語り合う

ニュースイッチラボ in CEATEC2019

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写真左より、明、福島氏、齊藤氏、白井氏

ニュースイッチは「CEATEC 2019」で「メディアと一緒に語ろう!5G・モビリティで変わる電子部品の未来」と題したセミナーを開催した。日本の産業でも競争力の高い、電子部品業界の最新技術動向やビジネス展開について、リーダー企業3社の登壇者が語り合った。

<パネリスト>
京セラ株式会社 研究開発本部コミュニケーションシステム研究開発部部長 福島 勝氏
<パネリスト>
アルプスアルパイン株式会社 Tプロジェクトプロジェクトマネージャー 齊藤 克哉氏
<パネリスト>
タイコエレクトロニクスジャパン合同会社 データアンドデバイス(Data & Devices)
アドバンスドテクノロジー シニアディレクター 白井 浩史氏
<モデレータ>
日刊工業新聞社 デジタルメディア局局長 明 豊
写真左より、福島氏、齊藤氏、白井氏
 今年前半にニュースイッチで最も読まれた記事は、村田製作所の全固体電池でした。相変わらず読者からも電子部品業界注目への注目度は高く、特に新しいテクノロジーのキーワードである「第5世代通信(5G)」や「モビリティ」は関心が高いです。そこで主要企業3社の皆様に最新の動向を伺っていきたいと思います。

まずは今回、CEATECのテーマにもなっている「5G」ですが、今までの通信世代と比較した際のインパクトについて、白井さんよりお話をいただけますでしょうか。

白井 1990年代のアナログを中心とした携帯電話を起点としてみると、そこから30年間でデバイスの通信速度は約10万倍となっています。これは、1年あたり1.5倍ずつの技術進展が成された結果です。タイコエレクトロニクスでは、接続部品の会社として、デバイス側には高密度な製品を、通信機やデータセンター側には高速のコネクタやケーブルアセンブリを供給し、技術発展をサポートしてきました。そうした分野からみると、5Gへの移行にあたり、通信機側の接続形態は大きく変化を遂げていくと思っています。

エッジサーバー、マイクロセル、アクティブアンテナシステムなどの設備の中には、高速信号出力用のコネクタやケーブルアセンブリが必要になりますが、設備の制約による部品の小型化など、さまざまな課題が発生するはずです。これから幅広い技術開発の方向性を考えていかなければなりません。

グローバルからみた「5G」

 メディアでは、「5G」をはじめ「CASE」や「MaaS」などについて、ビジネスチャンスとして取り上げることも多いですが、実際の現場では難しいことが多々あると思います。5Gに関する投資について現状を教えてください。

白井 接続部品開発の視点では、核となる半導体技術があり、各社がそのロードマップに沿った設備開発を進めているため、技術開発の進捗レベルとしては同等だと思っています。

 ここ4~5年で、データセンターの構造が変わるという話もありますが、変わらなければいけない理由はなんでしょうか。

白井 5Gを支えるデータセンターのシステムは、チャネルスピード56ギガビット毎秒の信号が主流となります。これが3~4年後には、倍の112ギガビット毎秒になるとみています。ここまでは対応可能範囲で、顧客へのケーブル導入もできると思っていますが、その先になると、ラック容量や部品熱の問題が出てきたり、数ミクロン単位の部品寸法制御ができるかどうか疑問を感じているところです。何らかのイノベーションが必要で、これは業界全体で考えていかなければならない問題です。

 そうしたイノベーションは、どこがリードしていくことになりそうですか。

白井 これまでは日本や米国が主力でしたが、今は中国の可能性も強いように感じています。

 現在ある技術だけでは、壁を突破するのは難しいような状況で、戦略はありますか。

白井 現状に危機感は持っています。5Gの開発は見通しが立てにくい問題が多いですが、正しい技術を正しいタイミングで提供していかなければなりません。データセンター全体の技術動向を見て、様々な産業や顧客を系統立てながら、戦略立てて選択することに注力していきたいです。

 通信インフラ視点からは、どう考えますか。

福島 5G標準化の特許数についても中国が1位であったりと、中国企業が技術力をつけてきていると感じています。

 技術も含め、中国が牽引していく流れがあるのですね。
 通信インフラだけでなく、社会インフラの具体的なビジネスについても、お話を伺っていきたいと思います。京セラはローカル5Gにビジネスチャンスがあると見られていますが。

福島 5Gのアプリケーションで一番適していると思っています。5Gでは、高速・大容量となり、リアルタイム性が向上し、多接続も可能となります。Wi-Fiではレスポンスが安定せず、接続台数を増やしにくかった問題についても、ローカル5Gで解決できるため、工場のIoTなどから活用されていくと考えています。もう少し視点を広げてみると、地方都市の移動弱者に対し、自動運転のコミュニティバスを走らせるなど、エリア限定で地域性の高いローカル5Gの活用の幅は広がっていくでしょう。

5G×モビリティ時代

 自動運転の話もありましたが、自動車業界として5Gを取り入れるトリガーはどこにあるのか、齋藤さんにお話を伺いたいと思います。

齋藤 自動運転は、まず商用車向けとして導入されていくことになると思います。高速道路をローカルエリアと定義すれば、そのあたりから始まるのではないでしょうか。

 導入は中国が先になりそうですか。

齋藤 セルラーV2X(※1)に注目が傾きつつある中で、中国では市政府含め、ロードサイドユニット(※2)を取り入れた実証実験をすでに各所で行っており、世界で突出しているように思います。

 日本として、変えていかなければならない部分はどこでしょうか。

福島 車車間通信技術だけではなく、ロードサイドユニット設置などのビジネス的課題も、日本では、誰がそこにお金を払うかという問題で議論が長引き、先の投資に進まないところがあります。その点、中国では、国を挙げた投資ができています。
※1 セルラーV2X……安全運転支援への適用を想定して規格化した通信技術
※2 ロードサイドユニット(RSU)……道路上に設置され、車両などと直接通信を行う無線装置
※3 ロードサインアシスト(RSA)……標識読み取りディスプレイ

 日本のインフラは、グローバルに見て動きが遅いと感じますか。

白井 モビリティに直接関わりがあるわけではないですが、顧客の動きをみて、そう感じることはありますね。

齋藤 ワールドワイドで見ると、モチベーションが高いのはやはり中国で、我先にやるという積極性があります。日本はどうしても技術導入までの時間がかかってしまうところがありますね。

人材をどう生かす

 自社だけでは新しい技術革新は生まれないという流れの中で、まず社内外の連携についてはどう進めますか。

福島 京セラの研究開発部門は、大きく分けるとシステム部門と部品部門の2つがありますが、各拠点同士の交流を行うようになりました。我々の強みであるセラミックスと、有機材料を組み合わせるなど、それぞれの部門のチーム同士が話し合いながら進めていくこともあります。京セラは電子部品が強く、部品メーカーとして材料から技術まで持ち合わせています。「モノからモノ+コトへ」と捉え、持っている技術をどのように外に生かせるかを考えています。

 アルプスアルパインも、電子部品系とソフトウェア系で異なるエンジニアがいると思いますが、開発の動きはどうですか。

齋藤 1月の経営統合以降、新しい事業領域と既存の事業領域のやり方を融合したりなど、連携の動きは加速しています。

 最近では、AI人材が必要と言われることも多いですね。

福島 AIチームが開発したものをどう活用できるかで、周りにいる人材の育成が重要だと思っています。

 グローバルなプラットフォーマーである「GAFA」は、5Gにどのような向き合い方をしているのでしょうか。

白井 5Gに特化した向き合い方というよりも、とにかくAIに対する投資が大きいです。ハイパースケーラ―の顧客の投資状況を見てみると、従来型のサーバーへの投資は継続しているものの、伸びていく部分はほとんどAI関連となっている状況ですね。

 最後に5G×モビリティで注力していくところについて、教えてください。

福島 京セラには、カメラの技術もあるため、物体認識を取り入れたセンシング技術に力を入れていきたいと思っています。

 モノからコトへ、サービス化は本当にできるのでしょうか。

福島 部品自体は今あるものをベースに事業展開できると思っていますが、どこに手を伸ばしていくかが課題です。人の好みも多様化し、モノが売れる時代ではなくなってきている中で、中期的に変えていかなければならないと感じています。

齋藤 テレマティクスの面でいうと、メガティア1が大きい市場シェアを占めているので、そこにどう食らいついていくかだと思っています。韓国や中国に挑んでいく形になると思いますが、実証実験に参加したり、自動運転で必要となるV2Xは実社会でどう使えるかなど、さまざまな方法を考えていきたいです。

白井 自動車部門では5Gに向け、情報エンタテイメント系のコネクタやケーブルアセンブリに注力していく戦略を進めており、引き続き取り組んでいきたいと思っています。
 本日はありがとうございました。


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