新型iPhone、一番得しそうなニッポンの部品メーカー

背面カメラの搭載数の増加、アクチュエーターに商機

 米アップルが20日に発売する新型「iPhone(アイフォーン)」。スマホ市場が成熟期を迎えるなか、米国がスマホも対象の対中制裁関税を12月15日に発動する。中国も報復関税で対抗を繰り返しており、米中の対立はiPhoneの売れ行きにも少なからず影響を与える。iPhone向けには日本のサプライヤーが多くの部材やパーツを供給している。米中貿易摩擦といった不安材料もあるが、新機種の投入は市場の活性化につながるため、電子部品各社にとって期待も大きい。

 今回の新モデルの目玉は背面カメラの搭載数の増加だ。レンズを動かしピントを合わせるのに使われるスマホカメラ用アクチュエーターを製造する企業にとっては追い風だ。

 「11」が単眼から複眼になり、上位機種には3眼カメラが搭載された。アクチュエーターはカメラ1個ずつに必要なことから、新機種が売れれば旧モデルに比べアクチュエーターの販売数量が増える。

 アクチュエーターの世界シェアが高いアルプスアルパインの小林俊則執行役員は全体的に販売が「堅調に推移している」とし、ミネベアミツミの吉田勝彦常務執行役員も「特段問題があると認識していない」と好調さをアピールする。

 ただ、3眼カメラに目新しさはない。さらに旧モデルに比べ端末の値段は安くなったが、最近では価格が高すぎて1世代前の端末で十分という人も増えている。楽天証券経済研究所の今中能夫チーフアナリストは「今回の新機種は中継ぎのようなもの。部品メーカーにとっては廉価版も含めてトータルのiPhoneの販売数量をみていく必要がある」と分析する。

 電子部品各社は目下、5G対応機種への期待感を高めている。小林アルプスアルパイン執行役員は「本格的な5Gに備え、19年度は20年度の立ち上げに備えた開発投資に入っている」と明かす。

 村田製作所の村田恒夫会長兼社長は「スマホ向けが上向くきっかけは5Gの導入」と話す。今中楽天証券経済研究所チーフアナリストも「アップルが来年、本格的な5G対応機種を市場投入すれば、スマホ市場は大きく変わるだろう」と指摘する。

トランプ大統領がアップルに示す本気


【大和総研シニアエコノミスト・小林俊介氏の見方】

 米国がほぼ全ての中国製品にかかる追加関税を12月15日に発動する方針で、米国の家計に打撃を与える可能性がある。アップルのiPhoneも対象だ。米中貿易摩擦に伴う追加関税は中国への圧力に加え、アップルに生産体制の見直しを迫る意味合いも込められている。

 米トランプ政権が関税を引き上げるのは、中国国内から海外に生産移管する動きが広がり、中国の産業が空洞化するのを狙っているためだ。関税をちらつかせるのは、中国に対する姿勢の本気度をアップルにも示しているといえる。(談)

日刊工業新聞2019年9月12日の記事を一部編集

  

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