村田製作所が全固体電池を量産へ、容量は“業界最高レベル”

野洲事業所にラインを新設

 村田製作所は2019年度内にセラミックス技術を応用した全固体電池の量産に乗り出す。野洲事業所(滋賀県野洲市)の電池関係の生産棟に量産ラインを新設する。当面の生産能力は月10万個を予定する。試作品の容量は他社製品と比べて100倍の10ミリアンぺア時強と業界最高レベル。17年にソニーから買収したリチウムイオン二次電池事業を含め、注力するエネルギー関連市場への展開を加速する。

 電解質にセラミックス材料を使った面実装タイプの「セラミックス全固体電池」を量産する。積層セラミックコンデンサー(MLCC)の製造設備を転用するほか、数億円を投じてドライルームなどの付帯設備を整える。

 このほどサンプル出荷を始めた。大きさは縦5・7ミリ×横9・6ミリ×高さ5・2ミリメートル。材料組成を改良し、容量を大幅に高めた。さらにエネルギー密度を向上し、既存のリチウムイオン二次電池からの置き換え需要や競合品と差別化する。

 主にウエアラブル端末での採用を想定。中でも耳に装着する「ヒアラブル機器」向けに需要が広がるとみる。リチウムイオン電池と違って、難燃性で、熱くなりにくいといった安全性を訴求する。

 次世代の全固体電池をめぐり、各社が開発、量産を急ぐ。TDKも村田製作所と同様のセラミックス型全固体電池を開発。年内にもIoT(モノのインターネット)機器向けなどへ量産を目指す。トヨタ自動車とパナソニックが20年末までに共同で設立する新会社でも電気自動車(EV)向け全固体電池の研究開発を進める計画だ。

調査会社の富士経済(東京都中央区)によると全固体電池の世界市場規模は17年が21億円に対して、EV向けがけん引して35年は2兆7877億円となる見通し。

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日刊工業新聞2019年6月18日

  

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