自動化の限界へ、高級「G-SHOCK」を生み出す山形カシオの挑戦

【連載】メードインジャパン 腕時計工場の最前線(3)

新棟稼働1年


 山形カシオ(山形県東根市)は、敷地内にある時計専用の工場が稼働を始めて1年以上が経過した。新棟には部品の製造やアナログムーブメント(駆動装置)を自動で組み立てるラインの他に、高価格モデルの「G―SHOCK」や高機能メタルウオッチ「オシアナス」などを扱う専用ライン「プレミアムプロダクションライン(PPL)」を備えている。

 PPLで扱う製品の中でも、メタル素材を用いたG―SHOCKは特に人気の製品。「期待値以上に順調」(カシオ計算機の増田裕一専務執行役員)という、19年のG―SHOCKブランドを支える新たな“顔”。メタルやカーボンを用いる「MT―G」シリーズも人気が高まっている製品だ。
人気の「MT-G」シリーズ。新素材の採用を進めている

 ラインでは職人による手作業での組み立てをセンサーやロボットでサポートしている。PPLに携われるのは22人の熟練技能者のみ。完全な自動化が難しい工程だが、人とロボットの協業で生産を支えている。

 普及価格帯のデジタルウオッチでは組み立てを完全自動化した実績を持ち、山形カシオの福士卓社長は「他の製品やラインにも適用を目指す」と意気込む。コストを抑えながら月に数万単位の生産を可能にしたノウハウを生かす。

自動生産拡大


アナログムーブメントの生産ライン

 アナログムーブメントは、機械による自動生産の適用範囲を拡大している。将来的にはIoT(モノのインターネット)を活用した故障予兆診断も見据える。現時点では自動生産のための設備導入を優先しているが、予兆診断機の開発にも取り組んでいるという。

感性デジタル化


 カシオ計算機のマザー工場として、同社の生産本部と連携して生産工程の開発も進めている。普及価格帯の腕時計や楽器を生産する中国や台湾の拠点では、人件費の高騰や人手不足が起きており、国内同様に機械化の重要性が増している。安定した品質での生産を続けるため、同社では感性のデジタル化といった新たな技術の開発も進めている。

連載・メードインジャパン 腕時計工場の最前線(全3回)


【1】盛岡セイコー工業(10月21日公開)
【2】シチズン時計マニュファクチャリング・飯田殿岡工場(10月22日公開)
【3】山形カシオ(10月23日公開)

日刊工業新聞2019年10月18日

国広 伽奈子

国広 伽奈子
10月23日
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生産の仕組みを海外工場に導入する際は、文化の違いが大きな壁になることも。製造方法の改革だけなく、現地で獲得した人材の育成でも試行錯誤を続けています。連載は今回が最終回です。お付き合いいただきありがとうございました。

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