スマートウオッチはいつになったら“生活必需品”になるの?

ディスプレーや多彩な機能はどこまで必要か

 スマートウオッチが生活必需品の地位を確立する日は来るのか?―。IoT(モノのインターネット)の拡大により、ネットワークに接続するさまざまな“スマートデバイス”が急増。ウエアラブルデバイス市場も成長している中で、スマートウオッチ市場の伸びは鈍い。消費者が本当に求めるスマートウオッチとは何か。スマートフォンではなく腕時計を基点にしたスマートウオッチを投入する2社の狙いを探った。(国広伽奈子)

ソニー、デザインと機能両立


【定義付け重要】
 2016年に腕時計の見た目をしたスマートウオッチ「ウェナリスト」を発売したソニー。同製品の生みの親で、同社スタートアップ・アクセラレーション部ウェナ事業室の対馬哲平統括課長は「どういう時に使うのか、定義付けが重要だ」と指摘する。

 「ウェナリスト」は、バンド部分に基板やディスプレーを集約したスマートウオッチ。機能はスマートフォンの通知や電子マネーの決済などに絞り、わずかな操作や手間で済むようにした。

 スマートウオッチの普及には「デザインと機能の両立も欠かせない」(対馬統括課長)という。「装身具は個性が重要。いくら機能がよくても大量生産品ではニーズに合わない」(同)とし、機能面だけでなく、人目を引き、身につける人が満足するようなデザイン性能の重要さを指摘する。

シチズン、入力重視で各種基盤と連携


【表示よりも入力】
 IoT基盤「Riiiver(リィイバー)」でスマートウオッチ市場に攻勢をかけるシチズン時計。営業統括本部オープンイノベーション推進室の大石正樹室長は「そもそも腕時計は情報の表示よりも入力の方が適している」と語る。

 リィイバーは、アプリケーション(応用ソフト)でスマートフォンと腕時計や家電などの端末をつなぐプラットフォーム(基盤)。「腕時計はあくまで(リィイバー普及の)トリガーの一つ」(大石室長)で、利用者のアイデアと組み合わせる端末次第でさまざまな機能を作成・設定できる。

 リィイバー対応の腕時計を秋に発売予定。スマホと連動させ「ボタンを押すと配車アプリを起動して現在地にタクシーを呼び、到着時間を秒針で表示する」といった機能を付与できる。
「リィイバー」のアプリと同基盤に対応した腕時計

【機器減らし軽く】
 機能が素早く起動できることに重点を置いたことで、搭載する機器を減らして軽量化やデザイン性を実現できた。協業も含めた連携端末の拡充や、利用者・開発者の交流によるプラットフォームの活性化で浸透を図る。

 どういう時に使うのかを高いデザイン性と共に重視するソニー。入力重視でプラットフォーム連携を求めるシチズン。どれが起爆剤になるかは、まだ混沌(こんとん)としている。

日刊工業新聞2019年6月4日掲載記事に写真を追加

国広 伽奈子

国広 伽奈子
06月04日
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国内のウエアラブルデバイス市場は、米アップルの「アップルウオッチ」の動向に大きく左右されています。ビックカメラ広報によると同製品に新製品が投入されるとスマートウオッチの販売台数も増える傾向にあるとのこと。また、最近は生体情報を取得できる端末を企業が利用するケースも増加傾向。従来の腕時計の役割とは一線を画している印象が強いです。

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