年差±1秒を実現!シチズン時計の職人技は“全員プロ化”で後世へ

【連載】メードインジャパン 腕時計工場の最前線(2)

高価格・高精度


 シチズン時計マニュファクチャリング(埼玉県所沢市)の飯田殿岡工場(長野県飯田市)では高価格帯の腕時計を手がける。2019年の目玉は年差プラスマイナス1秒の高精度な光発電クオーツウオッチ「ザ・シチズン キャリバー0100」。新素材や特殊な構造の部品の採用で組み立てが難しく、「マイスター」と呼ばれる数人の職人しか組み立てられないという。

 同工場では、職人の育成環境に特に神経を注いでいる。長年運用してきた職人の養成制度「マイスター制度」を見直し、19年から本格的に運用を開始。マイスターの認定については、技能の高さや資格の取得状況に加えて、地域の子どもや一般向けの時計教室など、社会貢献活動への参加状況も選考基準に追加した。

 光沢和晃工場長は「指導者としての適性を見極めるために明確な条件を設けた」と語る。多機能化やデザインの多様化を背景に、高級時計の組み立ての難易度は上昇。若い世代の職人の育成環境を整えることで、技術のさらなる向上につなげる。
「ザ・シチズン キャリバー0100」

若手を支援


 若手の技術向上を支援する「ヤングマイスター制度」も設置。若い時期から職人を目指してやる気を引き出す仕掛けを作っている。

 技能面では、有期雇用も含めた全従業員で、品質管理(QC)検定や時計修理士の技能検定の合格率100%を目指す。現時点ではQC検定が95%、技能検定は65%ほど。シチズン時計マニュファクチャリングが掲げる「全員プロ化」(光沢工場長)の目標の下で、高品質を支える人材の層を厚くする。

 課題は少量多品種の生産の合理化。高級品やカスタマイズ性の高い製品を多く扱うため簡単に自動化はできないが、従業員が作業しやすい環境作りを進めている。
難易度の高い「キャリバー0100」の針付け。微妙なズレも見逃せない

タブレット化


 完成品の組み立て工程では、作業手順書のタブレット化を実施した。他の作業現場についても、順次タブレット化を進めて検討しているという。


連載・メードインジャパン 腕時計工場の最前線(全3回)


【1】盛岡セイコー工業(10月21日公開)
【2】シチズン時計マニュファクチャリング・飯田殿岡工場(10月22日公開)
【3】山形カシオ(10月23日公開)

日刊工業新聞2019年10月17日

国広 伽奈子

国広 伽奈子
10月22日
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地元の小学生向けに開催している腕時計の組み立て体験イベントは毎回人気とのこと。製造業の人手不足が叫ばれていますが、同工場の場合は地元の学生を中心に若者が多く集まっているようです。

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