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約114兆円を生み出す「自動車・電機15社」、業績予想まるっと早わかり

約114兆円を生み出す「自動車・電機15社」、業績予想まるっと早わかり

トヨタの豊田章男社長(左)とパナソニックの津賀一宏社長(2017年12月撮影)

 日本の基幹産業である自動車と電機。大きな雇用を生みだし、主要15社の売上高は約114兆円(2020年3月期見通し)にのぼる。一方で、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)や「MaaS(乗り物のサービス化)」などの台頭によって産業構造の変化は避けられない。トヨタ自動車とパナソニックが象徴するように、2つの業界は今後、より連携が深まってくる可能性がある。各社の成長余力はどれほどあるのかー。

5社が営業増益予想


 乗用車7社の2019年3月期連結決算がに出そろい、5社が営業減益となった。完成検査不正の影響を受けたスズキ、SUBARU(スバル)や、円高が直撃したホンダなどは営業減益。一方、トヨタ自動車、三菱自動車は販売増と原価低減活動がかみ合い、営業利益を伸ばした。足元では自動車市場に停滞感が続くほか、米中の貿易摩擦問題の行方も不透明。また新技術に備え研究開発費がかさむ状況にあり、各社の20年3月期は無理のない成長を目指す1年となりそうだ。

 世界市場の停滞、為替の円高や原材料高―。こうした業界共通の課題を販売台数増や原価低減活動で打ち返せたかどうかが、乗用車7社の19年3月期決算の明暗を分けた。

 トヨタは売上高が日本企業で初めて30兆円を超えた。高い競争力を持つアジアで販売台数を伸ばしたほか、「周回遅れ」(小林耕士副社長)という中国でも善戦した。さらに米国でインセンティブ(販売奨励金)管理を徹底し収益性を改善。800億円の原価改善効果も出し営業利益を伸ばした。

 同様に三菱自は得意の東南アジアのほか、競争力回復に取り組む日本で多目的スポーツ車(SUV)やミニバンの販売を伸ばした。

 一方、ホンダは世界販売は2・4%伸ばしたが、営業損益ベースで円高影響が1603億円の押し下げ要因になったほか、欧州の生産再編コストも響き2ケタの減益だった。リコール関連で特別損失813億円を計上したスズキのほか、スバル、日産自動車は完成検査不正が業績の足を引っ張った。

 20年3月期は5社が営業増益を見込む。マツダは日米欧中の主要市場で販売を伸ばし、営業利益で2ケタの伸びを見込む。スバルも増収増益に転じる見込み。

 ただ自動車の米中2大市場は停滞気味で先行きは楽観視できない。またスズキの鈴木俊宏社長は「インドは右肩上がりだったが、踊り場にある」と表情を曇らせる。

 米中貿易摩擦の激化も懸念材料で倉石誠司ホンダ副社長は「景気悪化につながり(顧客の)購買意欲を削いでしまうことが怖い」と警戒する。
                      


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構造改革の成否が明暗を分ける


 一方、大手電機8社の2020年3月期連結業績は5社が営業増益となる見通し。構造改革の成否が明暗を分ける。今後も事業の選択と集中を進めて、IoT(モノのインターネット)などデジタル化の世界的潮流への即応が必要だ。米中貿易摩擦による報復関税の応酬は“危険水域”に入り、その影響は読めない。非常事態下だからこそ、逆風に負けない各社の底力が問われる。

 東芝は20年3月期連結業績予想(米国会計基準)の営業利益で前期比3・9倍の1400億円を見込み、現中期経営計画の目標数字を堅持する。早期退職や拠点統合などの構造改革により、490億円の増益効果を計画。車谷暢昭会長は13日の会見で「利益目標の1400億円は不変だ。施策を一つひとつ積み上げていくことで達成が可能だ」と自信をみせた。

 日立製作所の20年3月期は営業増益の見通しで、実行してきた再編や事業撤退効果により産業機器などのインダストリー部門の利益拡大が大きい。東原敏昭社長は「19年3月期までの前中計で稼ぐ力がついてきた」とさらなる成長へアクセルを踏む。

 一方、同じく20年3月期から新たな中計を始動させたパナソニックは初年度に営業減益を予想する。津賀一宏社長は「構造改革のスピード感が不十分だった。新中計では低収益から脱却し、利益を成長軌道に戻す」と収益改善を急ぐ。

 近年、構造改革を繰り返してきたNECの20年3月期は大幅な営業増益に転じる見込み。活況な情報通信技術(ICT)投資を反映し、企業システム、ネットワークサービス、システムの主要3事業がそろって増益になる見通し。懸案の海外事業も黒字化のめどを付けた。

 富士通は半導体事業の再編に加え、欧州拠点の構造改革の継続や電子部品の世界的な需要低迷が響いて減収営業減益の見通し。主力のソフト・サービス事業も海外で伸び悩むとみている。
                  


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