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室蘭の中小金型メーカー、「MRJ」に採用された精密加工の源泉とは?
【連載#07】北海道胆振地方の有望企業
*<永澤機械>
自動車のギアなど駆動系の部品用金型の製作を中心に事業展開している永澤機械。もともとは地元、北海道室蘭市にある日本製鋼所室蘭製作所から産業機械部品などを受注し、技術力を磨いてきた。鋼材の熱処理から機械加工、組み立て、仕上げまで一貫生産できる体制を整えている。
仕事は2018年末頃から忙しく年明けも好調で、2月に入って一段落した。大口の取引先である日本製鋼所室蘭製作所からの仕事が減っているため「これまで受注を控えていた車関係の仕事を増やした」(永澤優社長)ことが奏功した。さらに半導体のシリコンウエハーの製造装置の部品も堅調に推移した。
今、新たな事業として力を入れているのが航空機分野だ。品質管理は厳しいが、1度受注できれば長期的な取引を期待できる。
最近では航空機部品の受注に取り組む中小企業ネットワーク『ジャパン・エアロ・ネットワーク(JAN)』を通じて、三菱航空機(愛知県豊山町)が開発を進める国産小型ジェット旅客機『MRJ』の部品を初めて受注し、2月中旬に納品した。飛行機の離着陸時の制御で用いるアルミ合金製の部品だ。長さ90cm×直径15cmの大きさで、その内部に直径8cmの円筒を切削して作った。
こうしたモノづくりを行える背景として、永澤社長は「道具と人がそろっているから」と指摘する。万能研削盤をはじめとする機械装置により精密加工を実現できる。さらに5-6人の70歳前後のベテラン職人は全員1級の技術士の資格を保有する。
永澤社長は現在、社員に顧客満足度を上げるように説いている。顧客には「納期」「品質」「価格」の総合力でアピールするが、特に品質に力を入れる。「安定した品質を提供できれば信頼を得られる」(永澤社長)と顧客を満足させるモノづくりを目指している。
所在地=北海道室蘭市東町3丁目1-4、社長=永澤優氏、設立=1963年(昭和38)、資本金=2600万円、社員数=43人>
永澤機械ホームページ
アルフは電子部品や医療関係部品、自動車部品などの生産に必要な精密金型部品の6面加工を得意とする。超硬部品の研磨加工では、技術者が1万分の5mmで管理しながら1000分の1mmの精度を実現する。渡部厚社長は「1万分の1mm単位の精度は機械では出せない」と技術力を武器に受注拡大を目指している。
一般的な研磨加工の精度は同1000分の5mm程度。同社は同1000分の1mmで加工するにあたり、技術者が加工物の表面に黒のフェルトペンを塗り、その色が薄くなるのを見ながら、どれだけ研磨したかを判断する。研磨加工の世界は職人技で経験が重要になる。渡部社長は「だいたい3年ぐらいで1人前になる。10年やってそこから上の段階に進むには仕事が好きでないと無理」と話す。
働きやすい環境をつくるため、ここ2年は社員を増やしている。一昨年に1人、昨年に3人採用し、この4月に1人が入社する。「1人あたりの仕事量を減らして残業を少なくしていく」(渡部社長)方針だ。
社員の増加と合わせて考えているのが仕事の分業化。荒削りや仕上げなど一連の作業を1人で行う体制から、各作業を専任の技術者が行う体制に切り替える。「技術者にも加工の得手・不得手がある。得意な作業に集中させた方が品質がよくなる」(同)。段取り替えもなくなるので効率も高まる。今秋には着手したい考えだ。
モノづくりの世界はコスト競争が厳しく、そのトレンドは変わらない。こうした中で渡部社長は「うちでしかできない仕事をやっていく」と超硬精密部品の微細加工にこだわり仕事の確保を目指す。プロファイル研削盤を使った24時間連続加工も始める予定だ。
アルフホームページ
連載「北海道胆振地方の有望企業」これまでの記事はこちら
【連載#01】北海道胆振地方の有望企業
【連載#02】北海道胆振地方の有望企業
【連載#03】北海道胆振地方の有望企業
【連載#04】北海道胆振地方の有望企業
【連載#05】北海道胆振地方の有望企業
【連載#06】北海道胆振地方の有望企業
【連載#07】北海道胆振地方の有望企業
自動車のギアなど駆動系の部品用金型の製作を中心に事業展開している永澤機械。もともとは地元、北海道室蘭市にある日本製鋼所室蘭製作所から産業機械部品などを受注し、技術力を磨いてきた。鋼材の熱処理から機械加工、組み立て、仕上げまで一貫生産できる体制を整えている。
仕事は2018年末頃から忙しく年明けも好調で、2月に入って一段落した。大口の取引先である日本製鋼所室蘭製作所からの仕事が減っているため「これまで受注を控えていた車関係の仕事を増やした」(永澤優社長)ことが奏功した。さらに半導体のシリコンウエハーの製造装置の部品も堅調に推移した。
今、新たな事業として力を入れているのが航空機分野だ。品質管理は厳しいが、1度受注できれば長期的な取引を期待できる。
最近では航空機部品の受注に取り組む中小企業ネットワーク『ジャパン・エアロ・ネットワーク(JAN)』を通じて、三菱航空機(愛知県豊山町)が開発を進める国産小型ジェット旅客機『MRJ』の部品を初めて受注し、2月中旬に納品した。飛行機の離着陸時の制御で用いるアルミ合金製の部品だ。長さ90cm×直径15cmの大きさで、その内部に直径8cmの円筒を切削して作った。
「道具と人がそろっているから」
こうしたモノづくりを行える背景として、永澤社長は「道具と人がそろっているから」と指摘する。万能研削盤をはじめとする機械装置により精密加工を実現できる。さらに5-6人の70歳前後のベテラン職人は全員1級の技術士の資格を保有する。
永澤社長は現在、社員に顧客満足度を上げるように説いている。顧客には「納期」「品質」「価格」の総合力でアピールするが、特に品質に力を入れる。「安定した品質を提供できれば信頼を得られる」(永澤社長)と顧客を満足させるモノづくりを目指している。
永澤機械ホームページ
<アルフ>
研磨加工、1000分の1mmの精度で
アルフは電子部品や医療関係部品、自動車部品などの生産に必要な精密金型部品の6面加工を得意とする。超硬部品の研磨加工では、技術者が1万分の5mmで管理しながら1000分の1mmの精度を実現する。渡部厚社長は「1万分の1mm単位の精度は機械では出せない」と技術力を武器に受注拡大を目指している。
一般的な研磨加工の精度は同1000分の5mm程度。同社は同1000分の1mmで加工するにあたり、技術者が加工物の表面に黒のフェルトペンを塗り、その色が薄くなるのを見ながら、どれだけ研磨したかを判断する。研磨加工の世界は職人技で経験が重要になる。渡部社長は「だいたい3年ぐらいで1人前になる。10年やってそこから上の段階に進むには仕事が好きでないと無理」と話す。
働きやすい環境をつくるため、ここ2年は社員を増やしている。一昨年に1人、昨年に3人採用し、この4月に1人が入社する。「1人あたりの仕事量を減らして残業を少なくしていく」(渡部社長)方針だ。
社員の増加と合わせて考えているのが仕事の分業化。荒削りや仕上げなど一連の作業を1人で行う体制から、各作業を専任の技術者が行う体制に切り替える。「技術者にも加工の得手・不得手がある。得意な作業に集中させた方が品質がよくなる」(同)。段取り替えもなくなるので効率も高まる。今秋には着手したい考えだ。
モノづくりの世界はコスト競争が厳しく、そのトレンドは変わらない。こうした中で渡部社長は「うちでしかできない仕事をやっていく」と超硬精密部品の微細加工にこだわり仕事の確保を目指す。プロファイル研削盤を使った24時間連続加工も始める予定だ。
所在地=北海道室蘭市八丁平1丁目49番1号、社長=渡部厚氏、設立=2000年(平成12)、資本金=1000万円、社員数=10人
アルフホームページ
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【連載#01】北海道胆振地方の有望企業
【連載#02】北海道胆振地方の有望企業
【連載#03】北海道胆振地方の有望企業
【連載#04】北海道胆振地方の有望企業
【連載#05】北海道胆振地方の有望企業
【連載#06】北海道胆振地方の有望企業
【連載#07】北海道胆振地方の有望企業
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