匠の技で実現する「1万分の1ミリ」の精度

【連載#05 北海道胆振地方の有望企業】

<キメラ>


 部品加工は月産8000点以上、1日あたり300点。精密金型部品加工メーカーのキメラは、設計から量産まで一貫体制で金型製作を行っている。機械だけではできないサブミクロン(1万分の1ミリメートル)レベルの寸法精度を匠の技で実現する。

 マシニングセンターや研削盤など精密金型加工を支える工作機械の台数は「北海道で一番多い」(藤井徹也社長)と自負する。加工に関わるほとんどすべての工種を網羅できるので「品質をコントロールできる」(同)体制を整えている。

 藤井社長は同社の強みを「品質検査機器が充実している」と指摘する。検査業務は部品加工を終えた後に行うのが一般的だが、キメラは各加工を終えるごとに検査を行い、品質管理を徹底している。それが「キメラ品質」として顧客の信頼を獲得している。

 2018年9月に発生した北海道胆振東部地震以降、11、12月は仕事量が落ちた。年明け以降は仕事量が通常の水準に戻っている。ただ気がかりなのが米国と中国の貿易摩擦。中国の自動車生産量が減少したことで「自動車分野の仕事で値引きが激しくなっている」(同)と実感する。とはいえ、安易に妥協せず自らの道を進む。

 4月に社員の作業服を刷新する。夏冬・男女の計4種類あり、社員にデザインを応募してもらい、良ければ採用する。賞金は10万円だ。藤井社長は「社員のモチベーションを上げる上で大切」と遊び心を取り入れている。

 18年に会社設立30年を迎えた。藤井社長は今後30年に向け、今やるべきことに思いを巡らす。「30年後に当社にいる社員のために頑張る。お客さまと社員が一緒に夢を見てもらいたい」と将来の戦略を練っている。

藤井徹也社長

所在地=北海道室蘭市香川町24の16、社長=藤井徹也氏、設立=1988年(昭63)、資本金=2800万円、社員数=120人


キメラ ホームページ

<松本鐵工所>


顧客の要求に合わせて一品モノを製作する工場

フェリーからファイターズまで


 「工期の長い仕事が多いので、比較的景気には左右されにくい」。松本鐵工所の松本英久社長は同社の特徴をこう語る。事業内容は産業機械の設計、製作から据え付けや各種プラントの製作などを手がける。全部が一品モノのため、その都度やり方が異なる難しさがあるが「あきないし、どうやって作るかを考える面白さがある」(松本社長)。このほか、製紙工場の設備である抄紙機の据え付けとメンテナンスは、戦後の会社設立時から取り組んでいる実績を誇る。

 昨年9月に発生した北海道胆振東部地震では、停電で工場が4日止まり、納期が遅れることを懸念した。しかし、発注者の工場も止まったことで結果として問題はなかった。停電からの復旧後は、順調に通常稼働に戻ったが「電気がないと何もできないことを実感した」(同)と発電機の導入を検討している。

 最近では、フェリーターミナルのボーディングブリッジを製作している。完成すれば多くの人が利用し、自らも目にすることができるので「社員がプライドを持って仕事をしている」(同)と語る。プロ野球チームの北海道日本ハムファイターズが、2023年に北海道北広島市で開業を予定しているボールパークの建設には、何らかの形で仕事に関わっていきたい考えだ。さらに、今後成長が期待される航空機産業にも関心を持っている。

 18年に創業70周年を迎えた松本鐵工所。その節目の年にトップに就任した松本社長は、会社の目指す方向として「技術により社会に貢献すること」を挙げる。そのことをきちんと社員に伝えていく必要があると考える。一方で「社員が幸せに働ける会社にしたい」と思いを吐露する。そのために今、何をすべきかを突き詰めている。

松本英久社長

所在地=北海道苫小牧市晴海町28-1、社長=松本英久氏、設立=1948年(昭23)、資本金=5000万円、社員数=266人


松本鐵工所 ホームページ


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【連載#01】北海道胆振地方の有望企業

【連載#02】北海道胆振地方の有望企業

【連載#03】北海道胆振地方の有望企業

【連載#04】北海道胆振地方の有望企業

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【連載#06】北海道胆振地方の有望企業

【連載#07】北海道胆振地方の有望企業

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