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FRP成形で50年、次の挑戦は“ロケット”
【連載#06】北海道胆振地方の有望企業
*<興和工業>
「和似興」(和を以て興す)。耐食FRP成形で50年の歴史を誇る興和工業(登別市)の社是だ。1957年、硬質塩化ビニール管の配管工事業者として北海道曹達幌別工場構内で設立した同社は、低温に弱い性質を持つ硬質塩化ビニールからの転換を目指してFRP製造技術を導入。化学工場、製鉄・製鋼工場、紙パルプ工場向けの薬品貯留タンク、上下水道施設の消毒用タンク、脱臭装置の製造などを手がけており、耐薬品性FRP製品製造・メンテナンスを得意とする道内でも数少ない企業だ。少量多品種型の塔槽類における「ハンドレイアップ成形法」の技術力や、「フィラメントワインディング成形法」を導入した大口径パイプ、タンク、煙突等の高い品質力は大手メーカーから高く評価されており、道内でいち早く樹脂圧縮成型機を導入するなど技術研鑽にも余念がない。
LCC(ライフサイクルコスト)の観点からメンテナンス部門の強化に取り組んでいるが、課題は現場の状況に即応できる技術営業職の育成だ。製品の製造や配管・据付工事の知識に加え、薬品に対する知識も求められるため、「奥が深く理解に時間はかかるが、育ってくれることが大切だ」(鈴木高士社長)という。2月と3月には、中小企業大学校旭川校の勉強会に足を運び、社員教育のあり方を模索している。
また耐熱性フェノール樹脂の研究にも着手した。きっかけは北海道立総合研究機構工業試験場の勉強会に参加し、大樹町でロケット開発を行うインターステラテクノロジズからロケット部品製作の打診を受けたこと。新たな分野として期待が高く、北海道中小企業総合支援センターの補助事業にも採択されて部品の試作を進めている。「社員の士気が高まることや、近隣の機械加工企業とタイアップし、地域の企業間連携の呼び水になることを期待している」(同)。再生可能エネルギー分野では、管路の一部にFRPが使用される小水力発電所への参入も視野に入れるなど、同社の新分野への取組は今後も加速しそうだ。
興和工業ホームページ
西野製作所は機械加工から表面処理まで、機械部品に関する一貫した事業を展開するモノづくり企業だ。機械部品の製作・修理、硬質クロムメッキ、溶射・特殊溶接といった機械部品に関する加工をワンストップで行っている。その事業の特徴から、北海道内はもとより道外の企業からも仕事の声がかかる。
ワンストップでの利点は品質、納期、価格をトータルで管理がしやすい点だ。前工程と後工程で密な情報交換が行え、モノの移動も円滑にでき、作業に取りかかれる。前工程は後工程を考慮し、後工程は前工程の状況を把握した加工を容易にできる。西野製作所の西野義人社長は「ハイテク技術はないが、ローテクの融合体として一貫したサービスが提供できる」と指摘する。
2018年9月に発生した北海道胆振東部地震に伴う停電で、工場は2日間止まった。ただ顧客も停電で止まったことで地震の影響はほぼなく、復旧後は順調に推移している。
この4月に3人の新入社員が入社するなど、西野製作所にとって転機を迎えている。それまで2年ごとに1人採用してきたが、おととしから毎年1人ずつ継続的に採用してきた。「社員を育てられる環境になってきた」(西野社長)と社内体制が整ってきた。新入社員のうち1人は高校新卒の女性で、製造部門の女性社員は約30年ぶりだ。男性社員と一緒にモノづくりに携わる。「男性だけが当たり前の職場に女性が入るので意識改革が必要」(同)と現場で女性が働ける職場づくりに着手した。
西野社長は「コンスタントに仕事があるうちに取り組む必要がある」と人材強化の必要性を強調する。「人が成長すれば企業も成長し、持続可能になる」と将来を見据える。
西野製作所ホームページ
連載「北海道胆振地方の有望企業」これまでの記事はこちら
【連載#01】北海道胆振地方の有望企業
【連載#02】北海道胆振地方の有望企業
【連載#03】北海道胆振地方の有望企業
【連載#04】北海道胆振地方の有望企業
【連載#05】北海道胆振地方の有望企業
【連載#06】北海道胆振地方の有望企業
【連載#07】北海道胆振地方の有望企業
「和似興」(和を以て興す)。耐食FRP成形で50年の歴史を誇る興和工業(登別市)の社是だ。1957年、硬質塩化ビニール管の配管工事業者として北海道曹達幌別工場構内で設立した同社は、低温に弱い性質を持つ硬質塩化ビニールからの転換を目指してFRP製造技術を導入。化学工場、製鉄・製鋼工場、紙パルプ工場向けの薬品貯留タンク、上下水道施設の消毒用タンク、脱臭装置の製造などを手がけており、耐薬品性FRP製品製造・メンテナンスを得意とする道内でも数少ない企業だ。少量多品種型の塔槽類における「ハンドレイアップ成形法」の技術力や、「フィラメントワインディング成形法」を導入した大口径パイプ、タンク、煙突等の高い品質力は大手メーカーから高く評価されており、道内でいち早く樹脂圧縮成型機を導入するなど技術研鑽にも余念がない。
LCC(ライフサイクルコスト)の観点からメンテナンス部門の強化に取り組んでいるが、課題は現場の状況に即応できる技術営業職の育成だ。製品の製造や配管・据付工事の知識に加え、薬品に対する知識も求められるため、「奥が深く理解に時間はかかるが、育ってくれることが大切だ」(鈴木高士社長)という。2月と3月には、中小企業大学校旭川校の勉強会に足を運び、社員教育のあり方を模索している。
また耐熱性フェノール樹脂の研究にも着手した。きっかけは北海道立総合研究機構工業試験場の勉強会に参加し、大樹町でロケット開発を行うインターステラテクノロジズからロケット部品製作の打診を受けたこと。新たな分野として期待が高く、北海道中小企業総合支援センターの補助事業にも採択されて部品の試作を進めている。「社員の士気が高まることや、近隣の機械加工企業とタイアップし、地域の企業間連携の呼び水になることを期待している」(同)。再生可能エネルギー分野では、管路の一部にFRPが使用される小水力発電所への参入も視野に入れるなど、同社の新分野への取組は今後も加速しそうだ。
所在地=北海道登別市新栄町1-12、社長=鈴木高士氏、設立=1957年(昭和32年)、資本金=5000万円、社員数=27人
興和工業ホームページ
<西野製作所>
機械部品加工、ワンストップの強み
西野製作所は機械加工から表面処理まで、機械部品に関する一貫した事業を展開するモノづくり企業だ。機械部品の製作・修理、硬質クロムメッキ、溶射・特殊溶接といった機械部品に関する加工をワンストップで行っている。その事業の特徴から、北海道内はもとより道外の企業からも仕事の声がかかる。
ワンストップでの利点は品質、納期、価格をトータルで管理がしやすい点だ。前工程と後工程で密な情報交換が行え、モノの移動も円滑にでき、作業に取りかかれる。前工程は後工程を考慮し、後工程は前工程の状況を把握した加工を容易にできる。西野製作所の西野義人社長は「ハイテク技術はないが、ローテクの融合体として一貫したサービスが提供できる」と指摘する。
2018年9月に発生した北海道胆振東部地震に伴う停電で、工場は2日間止まった。ただ顧客も停電で止まったことで地震の影響はほぼなく、復旧後は順調に推移している。
この4月に3人の新入社員が入社するなど、西野製作所にとって転機を迎えている。それまで2年ごとに1人採用してきたが、おととしから毎年1人ずつ継続的に採用してきた。「社員を育てられる環境になってきた」(西野社長)と社内体制が整ってきた。新入社員のうち1人は高校新卒の女性で、製造部門の女性社員は約30年ぶりだ。男性社員と一緒にモノづくりに携わる。「男性だけが当たり前の職場に女性が入るので意識改革が必要」(同)と現場で女性が働ける職場づくりに着手した。
西野社長は「コンスタントに仕事があるうちに取り組む必要がある」と人材強化の必要性を強調する。「人が成長すれば企業も成長し、持続可能になる」と将来を見据える。
所在地=北海道室蘭市中島本町1丁目11番16号、社長=西野義人氏、設立=1971年(昭46)、資本金=1000万円、社員数=40人
西野製作所ホームページ
連載「北海道胆振地方の有望企業」これまでの記事はこちら
【連載#01】北海道胆振地方の有望企業
【連載#02】北海道胆振地方の有望企業
【連載#03】北海道胆振地方の有望企業
【連載#04】北海道胆振地方の有望企業
【連載#05】北海道胆振地方の有望企業
【連載#06】北海道胆振地方の有望企業
【連載#07】北海道胆振地方の有望企業
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