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スマホのコネクタに革新を!「精密、極小、狭ピッチ」の限界へ

【連載#02 北海道胆振地方の有望企業】
スマホのコネクタに革新を!「精密、極小、狭ピッチ」の限界へ

アイクスは高精度のモノづくりに挑戦し続ける

*<アイクス>
 日本有数の温泉郷を有する登別市で、通信機器や自動車に用いる精密プラスチックコネクタの金型設計、製造、組立、試作までの一貫生産を行うアイクス。今年30周年を迎えた同社の社名に入るイクス「∞」は「無限に技術の可能性を追求する」という想いが込められたもの。取引先も青森県の弘前航空電子や秋田県の品川合成製作所、長野県の安曇野本多通信工業など道外に幅広く展開している。

 胆振東部地震の際は、1日停電になったものの納期から外れていたため取引先への影響はなく、工作機械等のレベルが多少ずれた程度で事なきを得た。むしろ「自社製品を持たない請負企業なので、いかに顧客ニーズに即応するかが常に課題だ」と佐々木良一社長は語る。

 このため同社では、数年前から「精密、極小、狭ピッチ」なモノづくりに大きく舵を切った。寸法精度に対する妥協を許さないという信念で高精度放電加工を実現したほか、マイクロコネクターに挑むべく高精度なワイヤー加工機を導入。2018年11月には精密NC放電加工機を導入するなど積極的な設備投資を進める。「ハイブリッド自動車や電気自動車の増加により、電装品に使用されてきたコネクタが主流になってきた」(佐々木社長)事も同社の背中を押す。アップルやファーウェイに変わる新たな通信機器事業者の台頭により、スマートフォンのコネクタ関連の受注も順調だ。

 北海道新幹線の開通やLCCの運行により「朝に出れば昼には目的地に到着するため、昔ほど本州との距離的なハンデは感じなくなった」(同)。技術革新にチャレンジする北の元気な企業は、広い視野で日本のモノづくりを支え続ける。
所在地=北海道登別市栄町3丁目3-4、社長=佐々木良一氏、設立=1989年、資本金=2000万円、社員数=21人

アイクス公式ページ

<丸恭水産>


ウニは一つ一つ手作業で丁寧に加工する

生ウニ出荷を支える「働きやすさ」と「当日出荷」


 人手不足が深刻な社会的課題となるなか、「フレキシブルな勤務体制のため、パート従業員の募集に事欠かないのは当社の強み」と語るのは、苫小牧市で水産加工卸業を営む丸恭水産の杉原秀明副社長。同社は1977年、洞爺湖町で生ウニを扱う小川商店から独立し、活毛ガニの販売を目的にえりも町で設立。毛ガニの水揚げ期間が短いため、86年に苫小牧市内に年間を通じて稼働できる生ウニの加工工場を整備した。現在は、卸売市場向けに1日1.5トンから2トンの生ウニを加工・出荷しており、売上げの約8割を占める主力商品となっている。

 苫小牧市は新千歳空港に近く、「午前中に加工した商品は午後の便に乗せられる」(杉原副社長)メリットがあるため、商品の在庫をほとんど持たない。震災時は1日間停電となり冷蔵庫が使用できない状況となったが、冷凍製品と違い、当日のうちに出荷するビジネスモデルが奏功し大きな被害は免れた。全ての工程を手作業で丁寧に製造するため破損するような製造装置もなく、翌日に加工を予定していた「原料ウニ」については冷蔵トラックに積むなど、できるだけ損害を軽減する対策を行った。

 自宅の電力復旧に時間がかかり出社できない従業員もいたが、ここでも同社のビジネスモデルが生きる。同社のパート従業員の出勤はフレキシブルで、7時から稼働する工場の操業中に出社すれば、いつ来て、いつ帰ってもいい体制を構築している。パート従業員にとっては非常に働きやすい環境で、生ウニの加工工場稼働当時から勤務し、80代になった現在でも働きに来ているパート従業員がいるのが強みの所以だ。
同社は海外展開にも目を向ける。2005年、インターネット販売の開始をきっかけに海外からの問い合わせが増え始め、14年には台湾、16年からはシンガポールへの輸出を開始。現在売上げの15%は海外向けの商品だ。地の利を生かし、昼までに商品を千歳空港に持ち込めば、当日の夕方には現地に到着する。

 活水槽を活用し、苫小牧市が水揚げ日本一を誇る北寄貝や魚介類、ウニを熟成して発酵させた魚醤油「雫」や、「雫」を活用したうにめしの素「贅沢飯」、ほっき飯の素「美味飯」などのラインナップもあり、年間の売上げは9億円を上回る。加えて、うにめしの素、ほっき飯の素に続く第3弾としてツブ貝を使ったツブ飯の素を近く商品化する。「働き手と輸送手段に恵まれた」(同)事により、同社の商品は日々進化を続けていく。
新商品のツブ飯の素が近く商品化される

所在地=北海道苫小牧市汐見町1丁目3-6、社長=小川涼子、設立=1977年(昭52)、資本金=2000万円、社員数=84人

丸恭水産公式ページ


連載「北海道胆振地方の有望企業」これまでの記事はこちら

【連載#01】北海道胆振地方の有望企業

【連載#02】北海道胆振地方の有望企業

【連載#03】北海道胆振地方の有望企業

【連載#04】北海道胆振地方の有望企業

【連載#05】北海道胆振地方の有望企業

【連載#06】北海道胆振地方の有望企業

【連載#07】北海道胆振地方の有望企業
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