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黄桜がAIで美味しい清酒作り

酒米の品質を分類する作業に活用
黄桜がAIで美味しい清酒作り

酒米の分類にAIを導入(酒米用の稲)

 黄桜(京都市伏見区、松本真治社長、075・611・4101)は、清酒の味に影響する酒米の品質を分類する作業に人工知能(AI)を活用する。2020年にも本格導入する。AIの画像認識技術により、従来は手作業で行っていた酒米の分類にかかる時間を現状比90%短縮する。合わせて最適な酒米の収穫時期を割り出し、酒米産地に情報を提供して、高品質な酒米を安定調達できるようにする。

 酒米は同じ産地でも品質にバラつきがある。清酒の味を保つため、酒米を入荷後、手作業により50サンプルを30分かけて選別している。AIによる画像認識を用いることにより、同じサンプル数を3―4分で分類できる。

 酒米の品質は「心白(しんぱく)」と呼ばれる、でんぷんの組織が米粒内で適切に離れていることにより表れる“白さ”に左右される。心白が米粒の中心から均等に広がっているほど良質で、米粒が水を吸いやすく、醸造に必要な麹(こうじ)を作りやすい。

 AIにより米粒の心白具合を分類し、心白が与える清酒の風味への影響を追跡。AIが計算したデータに基づいて、産地ごとの正確な酒米の違いや、適切な栽培方法・時期を導き出すことも目指す。生産工程における活用範囲の拡大も視野に入れる。

 清酒メーカーでは月桂冠(同)や「獺祭(だっさい)」を製造する旭酒造(山口県岩国市)が、清酒の品質安定化などを目的とし生産工程にAI導入を進めるなど、製造現場でAIの活用が広がり始めている。
日刊工業新聞2018年11月9日
葭本隆太
葭本隆太 Yoshimoto Ryuta デジタルメディア局DX編集部 ニュースイッチ編集長
月桂冠は約30年蓄積してきた発酵過程の記録などをビッグデータとして利用し、AIに機械学習させて導いた製法を基に技術者が工夫し、生産効率化や新製品開発につなげるとのこと。ぜひこちらの記事「月桂冠が清酒製造にAI導入へ」(https://newswitch.jp/p/13503)も。

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