日本人の「酒離れ」は都市伝説か?

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 日本酒造組合中央会は全国の20―79歳の3000人を対象にした、日本人の飲酒動向調査をまとめた。同調査は1988年以来、約30年ぶりという。「 飲む・飲める(がほとんどまない人含)」人は前回調査の67・6%から78%に増加。男性は83・4%から83・6%と微増、女性は52・6%から72・9%に大幅に増えた。体調や健康に気遣う社会人は増えてはいる一方、お酒を楽しむ習慣は未だに根強いことを示す調査結果となった。

 一般に酒離れが言われる20代については、ビール以外の酒を飲む量や新しい酒へ挑戦する意欲が他の世代より高いことが分かった。同中央会は「酒離れの指摘は当たらない」と分析している。

 調査によると若年層は高齢者層に比べ、飲食店などで飲む傾向が強かった。若年層は月平均5・5回。これに対し60代は3・1回だった。

 直近で飲んだ酒の1位は「ビール」で61・2%だった。2位は日本酒で35・5%、3位はワインで32・5%だった。日本酒は全体では飲まれた酒の2位につけているものの、飲んでいるのは圧倒的に50代、60代の高齢者層。20代は26・6%で、ハイボールの39・5%、カクテルの33・5%より低かった。

日刊工業新聞2017年6月6日



“ほろ酔い”消費を狙え!


  消費者の健康志向が強まる中、酒類でアルコール度数が低い商品の売り上げが拡大している。サントリースピリッツは缶チューハイ「ほろよい」ブランドの2016年販売目標を、当初計画より110万ケース(1ケースは250ミリリットル24本換算)多い1350万ケース(前年比10%増)に上方修正。アサヒビールも度数3%の「カルピスサワー」などが好調という。サッポロビールは低アルコールワインを9月6日に発売する。無添加・無着色、翌日の体調に響きにくいといった安心感などを強みに、低アルコール市場を深耕する。

若者需要をうまく取り込む


 サントリースピリッツのほろよいの対象客層は、20―30代の男女。白いサワー、白ぶどう、アイスティーなど主力6商品と期間限定商品があり、飲みやすくやさしい味わいが特徴だ。8月2日には顧客のキャンペーン投票で開発商品を決めた「白いサワー 香るマスカット」を発売するなど、若者需要をうまく取り込んでいる。

 アサヒビールのカルピスサワーは、新商品の白桃味を6月7日に発売したのが奏功し、6月の売り上げは前年同月比47%増。1―6月の累計もプラスで推移している。リンゴが原料の「ニッカシードル」は、青森県特産の黄色いリンゴを使用した「トキりんご」を発売。アルコール度数3%の飲みやすさに加え、無添加・無着色の安心感が消費者に受け入れられたと見ている。

 ワイン市場で低度数商品を仕掛けるのはサッポロビール。9月に度数3%の赤・白ワインを投入する。開栓しやすいスクリューキャップで、消費税抜きの価格は500円。度数が低く気軽に飲める。同社の調査によると、ワインは好きだが度数が10数%と高いため、家事や翌日の仕事を考えて他の酒類に流れる消費者が多かった。平日でも気軽に飲める低アルコールワインで新市場を開拓する。

 一方、キリンビールは健康志向を深掘りする。痛風などの原因となるプリン体が“ゼロ”を特徴とする第3のビール「のどごしオールライト」を、9月20日に刷新する。原料に新たなホップを追加し、原材料配合も見直してよりビールらしい味にした。体への負担が軽く、気兼ねなく飲める特徴を訴求する。

二日酔いするほど飲みたくない


 酒類メーカーの多くは、度数が高い缶チューハイやビール開発に積極的だ。度数を高くすることでコクやキレを高める狙いがある。

 一方で、酒類ユーザーは20―30代や女性が着実に増えており、これらの層では二日酔いするほど飲みたくないと考える人が多い。中高年層も高齢化で、健康が気になる。

 1990年前後のバブル景気時は酒類消費も増えたが、最近は家飲みで「ちょっとリラックスしたい」との理由で消費する人が多いという。“3%の酒”は、そうした消費者ニーズに合った商品と言えそうだ。
(文=嶋田歩)
※内容は当時のもの

日刊工業新聞2016年7月28日

2017年6月6日 建設・生活面

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栗下直也
編集局経済部
編集委員

とはいえ、一般的に想起する「飲んべえ」の割合は減少傾向にある可能性が高く、男性の「飲む」割合は88年の70・7%から53・6%に減少しています。女性活躍がアルコールの消費も支えていることを示す調査結果です。

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