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IHI、子会社の防災事業をファンドに売却

重工大手のカーブアウトが活溌になる可能性も
IHI、子会社の防災事業をファンドに売却

IHIシバウラの消防ポンプ(同社のウェブサイトから)

 IHIは24日、100%子会社のIHIシバウラ(長野県松本市)の防災事業を投資ファンドに売却すると発表した。可動式の消防ポンプでシェア50%超と国内トップで、今後はファンド傘下で海外市場の開拓を目指す。IHIの構造改革の一環で、同社がファンドに事業を売却するのは初めてとみられる。重工大手では今後も選択と集中によるカーブアウト(事業の切り出し)案件が出てくる可能性が高い。

 売却先はプライベートエクイティファンドのニューホライズンキャピタル(NHC、東京都港区)。新会社「シバウラ防災製作所」(長野県松本市)を設立、約60人が移籍し7月から始動する。社長にはIHIシバウラの代田精一氏が就く予定。防災事業の売上高は直近の業績で約30億円、収益も安定している。買収額は非公表。

 NHCは大手製造業のカーブアウト案件での実績などが評価された。新会社には製造・開発部門が引き継がれるため、NHCはマネジメントや管理部門などで支援する。

 国内の可動式消防ポンプはIHIとトーハツの2社寡占だが、成熟市場のため先行きの大きな成長は見込めない。そこで代理店の開拓など現在、8%程度の海外売上比率を高めていく。

 特に東南アジアや中国では水源の問題があり、独自空冷技術で優位性があるとみている。


日刊工業新聞電子版2017年4月24日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
IHIや三菱重工など大手重工メーカーは中小規模の事業がたくさん残っている。今回も防災事業が切り離されるIHIシバウラは農機の子会社と一緒になる。保守的な重工メーカーがファンドを活用したカーブアウトやM&Aも増えそう。

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