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来週、JRの新タワー誕生。リニア開業に向け名古屋駅はどこまで変わるのか

経済活性化も、栄との共存や東京との差別化など課題多し

名駅や栄で自動運転の社会実験を進めるべき


<三菱UFJリサーチ&コンサルティング主席研究員 加藤義人氏>

 JRセントラルタワーズの開業以降、名駅地区のオフィス供給は増えたが、名古屋に本社を移転する企業はほとんどなかった。リニア開業で、名古屋に本社を移転する企業が増えることが期待される。名鉄が再開発で建てる新ビルは、空港アクセスの良さを生かせるので、企業進出の受け皿になる。

 リニア開業は大きなチャンスだが、それまでの10年間で手を打たなければという危機感がある。今後は名駅西側に多い老朽化した建物のリノベーションを進めるべきだ。それらの建物に起業家が集まり、東側の大手企業と取引するようになれば、名古屋経済は活性化する。

 東京との差別化も必要だ。自動車産業の集積を生かし、名駅や栄で自動運転の社会実験を進めるべきだ。リニア開業の頃には、自動運転の街として世界に発信できればいい。
栄地区は名駅地区との違いを生かした活性化が求められる
日刊工業新聞2017年4月11日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
 名駅地区が発展する一方で、栄地区の活性化の必要性が指摘されている。名駅から東に約3キロメートルの栄は名古屋の商業の中心だが、名駅再開発のあおりを受けると懸念されている。名鉄会長でもある山本亜土名古屋商工会議所会頭は「名駅が良くなるだけではなく、栄も含めて名古屋の魅力を高めなければ」と指摘。さらに「緑の多さなど東京にはない魅力が名古屋にはある」と東京との違いを生かすことを提案する。  栄は南北2キロメートルの都市公園「久屋大通公園」でイベントや祭りが開かれるなど、文化の発信地でもある。中日劇場を擁する中部日本ビルディングの20年代半ばの建て替えなど再開発が計画されている。文化と商業が融合した地区として、名駅との違いを生かした発展が求められる。 (日刊工業新聞名古屋支社・戸村智幸)

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