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2055年に売上高10兆円を夢見る大和ハウスの「過去」「現在」「未来」

なぜ強いのか?「真っ先に役職者のやる気を挙げたい」(樋口会長)
2055年に売上高10兆円を夢見る大和ハウスの「過去」「現在」「未来」

「できれば20年前倒しで達成したい」と樋口会長


電力小売りから介護、ロボットまで


 同社ではコア事業、多角化事業、新規事業と事業を3つの分類に分けている。コア事業は戸建住宅、賃貸住宅、マンション、商業施設、事業施設、住宅ストックの6分野、多角化事業は健康余暇、インテリア建材、物流、ホームセンター、都市型ホテル、環境エネルギー、損害保険代理店・クレジットカード、オートリース・パーキング・カーシェアの8分野、新規事業ではロボット、農業の2分野に分類している。住宅・不動産をコアに、合わせて16もの事業を手掛けている。

 大和ハウス工業のM&Aで興味深いのはコア事業だけでなく、多角化事業に関するM&Aも多い点だ。今までの買収実績を見ていると、スポーツジムやクレジットカード、電力小売りから介護、ロボットまで幅広く買収、出資、提携を繰り広げている。一見脈絡がないように見える事業であっても住宅・不動産を軸にした事業と言うこともでき、乱暴な言い方をすればどんな事業であっても関連性を見出すことはできるとも言える。多角化事業はコア事業との関連性があるものとされているが、買収によって多角化事業そのものが拡大している面もあるだろう。

 新規事業では、ロボット事業については、サイバーダインへ出資していたことで話題となった。サイバーダインの製造する装着型のロボスーツは歩行困難者のリハビリ用の医療用具として使われている。これらは大和ハウス工業が強化するとしている高齢化対応事業の支えとなる可能性を秘めている。

 ここ数年の事業部門別の売り上げと営業利益の推移を振り返ってみると、賃貸住宅、事業施設、商業施設の3事業が成長のけん引役となっていることが分かる。特に売り上げでは事業施設事業が、営業利益面では商業施設部門が大きく伸びている。これは事業施設部門では13年1月(公表は12年8月)にフジタを買収したことが大きい。

■事業別売上高

■事業別営業利益

 売上高、営業利益は順調に成長しているが、バランスシートに目を向けて見ると、ここ数年で資産の構成に占める事業施設部門の資産の割合が増えていることが分かる。6年前には17%に過ぎなかった事業施設事業の総資産に占める割合が34%まで拡大している。大型買収と積極投資の結果であるが、気掛かりな点は、ここ最近は事業施設部門の総資本利益率(ROA)が低下傾向にあることだ。

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明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
大和ハウスはエリーパワーやサイバーダインに出資するなどベンチャー投資にも積極的。サラリーマンの経営者の中でも樋口会長のカリスマ性は際立つ。3年近く前のインタビューだが現在もまったく色あせていない。10兆円にはグローバルで戦えるサービスや商品が必要か。

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