成人の学力、日本は問題解決能力で1位相当
経済協力開発機構(OECD)は成人(16―65歳)の読解力や数的思考力などを測定する国際比較調査「第2回国際成人力調査(PIAAC)」の結果をまとめた。日本は読解力と数的思考力で第2位となり、「状況の変化に応じた問題解決能力」はフィンランドと並ぶ1位相当だった。日本ではスキルの習熟度や教育年数、専攻よりも勤務経験や年齢・性別などが賃金に影響していることも分かった。
日本の読解力の平均得点は289点(OECD平均は260点)、数的思考力の平均得点は291点(同263点)、状況の変化に応じた問題解決能力は276点(同251点)だった。得点をスケール化した習熟度レベルで見ると、3分野いずれも低い習熟度(レベル1以下)の割合は参加国中最も少なく、高い習熟度(レベル4以上)の割合は参加国中第2位だった。
2011年に実施した第1回調査と比較すると、読解力は低い習熟度の割合が増え、数的思考力は高い習熟度の割合が増えた。平均得点については統計的に有意な変化はなかった。OECDのアンドレアス・シュライヒャー教育・スキル局長は「日本のほかの多くの国でも読解力が下がっている」と懸念を示した。
属性やスキルなどとの関係では、日本では3分野いずれも学歴が高いほど習熟度も高かった。親の学歴が高いほど本人の習熟度が高い傾向もあった。性別との関係では、数的思考力の平均得点で男性は女性を上回るが、読解力と、状況の変化に応じた問題解決能力の平均得点は男女で有意な差はなかった。一方、日本はSTEM(科学・技術・工学・数学)の高等教育の修了者のうち、女性の割合が参加国中で最も低かった。
就業・賃金への影響を見ると、日本は現在の仕事に対して必要以上の学歴や資格を持っていると回答した割合が高く、スキル不足や学問の専攻がミスマッチであると回答した割合も高い。シュライヒャー教育・スキル局長は日本の課題として「大学や職場ではスキルに付加価値が付いていない」とし、スキルアップやリスキリング(学び直し)などの重要性を説いた。
今回の調査は2022年に実施。31カ国・地域から約16万人が参加し、スキルごとに0―500点の得点と、得点をスケール化した5―6段階の習熟度レベルで評価した。日本では5165人が参加した。