ポストコロナで求められる女性活躍の場、153カ国中121位は改善できるのか

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もし東京電力の社長が女性だったら福島事故は防げたか−。あえて刺激的な質問を原子力技術の若い担い手たちの研修会で投げかけてみた。2019年末から20年初にかけて日本が世界中の笑いものになった二つの恥ずかしい事件があったからだ。

一つ目の恥は、スペイン・マドリードで開かれた気候変動枠組条約第25回締約国会議(COP25)で、日本が石炭発電削減にコミットしなかったために非政府組織(NPO)から頂いた2回の「化石賞」であり、二つ目は世界経済フォーラム(ダボス会議)で日本の女性の活躍度を表す「グローバルジェンダーギャップ指数」が前年より10位低下し世界121位になったことである。国会議員の女性比率ランク144位が原因だ。制度改革が政府のかけ声とは裏腹に全く進んでいない証拠を突きつけられた気がした。経済協力開発機構(OECD)によれば、日本企業の女性幹部比率は加盟国のうち下から2番目、男女賃金格差は下から3番目である。

国際金融公社(IFC)の報告書によれば、ジェンダーバランスの取れた取締役会や管理職を持つ企業は、そうでない企業に比べESG(環境・社会・企業統治)感応度が高いだけでなく、業績も良いとされている。女性は地球環境悪化で男性より重い負担を課されている。アフリカで水汲みに遠くまで歩かなければならないのは女性らだ。

しかし彼女らが政治家になったり、起業家になったりして社会は変えられる。グラフのように地球環境対策と男女賃金格差には負の相関が見られる。気候変動枠組条約(UNFCCC)前事務局長クリスティーナ・フィゲレス氏もジェンダー平等の進展と地球環境の間には明確な相関関係があると述べている。

つまり二つの恥はリンクしている。特にエネルギー関係企業は女性の幹部が少ない。世界エネルギー・環境イノベーションフォーラム(ICEF)会議は地球環境改善において女性の活躍がカギを握ると結論している。女性は家族と子どもの安全や地球環境に関して、より強い関心を寄せる。もし東電社長が女性であったならあの悲劇的な事故は未然に防げたかもしれない。

最近のフォーブス誌によれば、感染症対策に成功している国は女性リーダーが多いという。ドイツ、台湾、ニュージーランド、アイスランド、デンマーク、フィンランド、ノルウェーなどだが、小池百合子東京都知事の活躍もそれに加えてよいだろう。イランのエブテカール副大統領とは笹川平和財団が女性のエンパワーメント事業を進めてきた。彼女も新型コロナウイルスに感染したと聞いて心配していたところ、回復され無事に職場に復帰しリーダーシップを発揮されていると聞く。同じフォーブス誌はコロナが女性にはるかに重い経済的負担をもたらしている証拠が多数あると言う。家族や子どもを守ることが女性の負担になるからだ。

コロナも地球環境もジェンダーニュートラル(性差に無差別)ではない。コロナ以前と以後では世界は変わる。化石燃料から再生可能エネルギーへの転換が急速に進むだろうと国際エネルギー機関(IEA)は言う。コロナで在宅勤務、テレワークが主流となる環境では女性たちが活躍しやすくなったとも言える。男性のサポートも大事だ。私も在宅勤務が続くが食器洗いがうまくなったわねと妻に褒められた。男性が支えて女性が活躍すれば東電のみならず日本全体が変わる。

【略歴】
田中伸男(たなか・のぶお)笹川平和財団会長 東大経卒、通商産業省(現経済産業省)入省。通商政策局総務課長、経済協力開発機構(OECD)科学技術産業局長などを経て07年に欧州出身者以外で国際エネルギー機関(IEA)事務局長に就任。16年から現職。69歳。

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