「国際輸送コスト10分の1以下の可能性」…JAXA認定ベンチャーが開発、断熱保冷容器の性能
ツインカプセラ(茨城県つくば市、宮崎和宏社長)は4日、動力を使わずに長時間検体の保冷・保温ができる新型の断熱保冷容器(写真)を開発し、受注を始めたと発表した。新型容器は従来の同社製品比で約2倍の温度維持性能を持ち、医療機関や研究機関間の検体の国際輸送に使える。小型・軽量のため輸送コストを下げられる。価格は非公表。
円筒形の二つの真空断熱容器(魔法瓶)を重ね入れた容器で、内部に少量の保冷剤を入れて使う。新型容器の体積は1・7リットルで高さは380ミリメートル。保冷試験では外気温35度Cの環境で容器内部を5度Cの状態にし、7日後にプラス2度C以内の温度変化に抑えられた。
検体の国際輸送は温度管理が厳格だ。ただ通関に止められたりすることがあり、正確な温度のまま運ぶのは難しい。大量の保冷剤使用による重量増加や、温度逸脱による検体の再送でコストがかさんでいた。
宮崎和宏社長は「従来の輸送容器より国際輸送のコストを10分の1以下にする可能性もある」と話す。ドライアイスの使用量を減らし、環境負荷低減にも貢献する。
同社は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の認定ベンチャー。高性能な断熱保冷・保温容器の技術の社会実装に取り組んでいる。
日刊工業新聞 2024年12月5日