医薬品の安全な輸送は“印刷会社”が実現する?

箱や仕組みで課題解決

未開封でも“中身が分かる”


 大日本印刷は、医薬品の輸送に役立つ電波透過型断熱ボックス(写真)を独バキュテック(バイエルン州)と共同開発した。開封しなくても内容物の電子荷札(ICタグ)や温度センサーを読み取れる。箱内部の温度変化やすり替えを防ぎ、製品の品質を保つ。2020年に発売予定で、価格は未定。20年度に年間10億円の売り上げを目指す。

 容量11リットル(縦360ミリ×横350ミリ×高さ355ミリメートル)から74リットル(縦560ミリ×横550ミリ×高さ555ミリメートル)まで、大きさが異なる全8種類を提供する予定。大日本印刷が持つ高機能フィルムや真空断熱パネルの技術を活用して電波の透過を実現した。食品の輸送など、医薬品以外の分野での活用も見込む。

 バキュテックは、真空断熱パネルや温度管理ができる高性能な輸送箱やコンテナを手がけている。家電や自動車など幅広い分野で活用されているが、日本市場では特にヘルスケア分野での採用拡大を目指している。

日刊工業新聞2019年7月5日



低温環境を監視


 岩谷産業とトッパン・フォームズは3日、再生医療分野におけるマイナス150度C以下の低温輸送システムの提供を始めたと発表した。医薬メーカーや医薬卸、倉庫業、運輸業などが行う再生医療分野の細胞や医薬品の保管・輸送時の温度管理やリアルタイムの位置情報管理ができる。

 同システムは、厚生労働省の医薬品流通過程の国際品質管理基準(GDP)に準じたガイドラインの再生医療分野の輸送温度管理に対応する。温度管理する容器は、岩谷産業の液化窒素を使用したマイナス150度C以下の低温環境で保管する細胞輸送容器を使用。トッパン・フォームズが新たに開発した温度ロガー(温度計)や同社が運営する温度管理のクラウドシステムを利用する。輸送中に取得した温度と位置情報をスマートフォンなどでクラウド上に送信し、閲覧できる。

日刊工業新聞2019年7月4日



トッパン・フォームズの温度管理の仕組みを詳しく!


庫内や棚に設置する「オントレイシス タグ」

 トッパン・フォームズは、輸送・保管中の医薬品や食品の温度をリアルタイムに監視するサービスを6月25日に始めた。専用の温度計測器で温度を細かく把握し、ブラウザー上でその結果を閲覧できる。医薬品GDP(適正物流基準)や改正食品衛生法への対応を急ぐ流通業やメーカー、病院、スーパーマーケットなどの需要を見込む。

 サービス名称は「オントレイシス クラウド」。導入費用は数万円程度、データ量に応じて数万円の月額利用料が発生する。クラウドサービスや関連製品の販売で2020年中に1億円の売り上げを目指す。

 専用の温度計測器「オントレイシス タグ」を庫内や棚、保冷箱などに設置し、温度をリアルタイムに把握。同計測器は通信機能を備えており、スマートフォンやゲートウェイ端末を通じてサーバーに結果を送る。クラウド上で計測結果とスマホやゲートウェイ端末の位置情報をひも付けでき、輸送時に急激な温度変化が起きた際の原因分析に役立つ。

 設定した温度域を外れると、事前に登録した電子メールアドレスに通知し、速やかな対応を促す。トッパン・フォームズによると、医薬品や食品の輸送時の温度管理では、輸送中に計測した温度を輸送後にまとめて確認するケースが多く、輸送中の温度変化に気付かず対応が後手に回る場合もあるという。

 医療GDPや改正食品衛生法に加えて、物流での飛行ロボット(ドローン)の活用拡大も商機になると見込む。

日刊工業新聞2019年6月25日から一部修正

  

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