半導体・電子材料を開拓…レゾナックHD、売上高の6割に
レゾナック・ホールディングス(HD)は石油化学事業の分離・上場後の2030年12月期業績について、売上高は1兆円規模を維持し、このうち半導体・電子材料部門の比率を60%程度に高める方針だ。石化事業を含む23年12月期と比べ、同部門の比率を30ポイント強ほど引き上げる。半導体後工程を中心に高いシェアを持つ製品群で同部門を拡大しつつ、先端技術開発のコンソーシアムを通じて中長期的な技術ニーズにも対応し需要を獲得する。
レゾナックHDの23年12月期売上高は1兆2889億円で、このうち半導体・電子材料部門の比率は約26%だった。30年12月期には石化事業を含めた売上高のうち、同部門の比率を45%に高める目標を掲げていた。
一方、石化事業の23年12月期売上高は3163億円。24年8月1日付で分割準備会社「クラサスケミカル」を設立し、25年1月1日付で分社化を計画する。26―27年を念頭に、レゾナックHDが株式の一部(20%未満)を保有して新会社を上場させる「パーシャル・スピンオフ」の実施を目指す。
石化事業の分離・上場が実現した後、半導体・電子材料分野に経営資源をさらに集中。同分野の売上高のうち、強みの半導体材料で70―80%を売り上げる見通し。
特に半導体の後工程の材料では主な15種類のうち10種類を持つとされ、回路形成に使うフィルムなど世界トップ級のシェアを持つ製品も多い。半導体メーカーが求める機能に柔軟に対応できる点も強みだ。25年には米シリコンバレーに研究開発コンソーシアム「US―JOINT」を設立して運用する計画で、同メーカーなどとの連携で中長期的な技術ニーズにも対応する。
事業ポートフォリオの入れ替えやリソースの集中などを通じ、課題である時価総額の向上を目指す。同社は複合的な企業ゆえに価値が過小評価されるコングロマリット・ディスカウントの懸念がつきまとっていた。「(時価総額は)足元で6000億―7000億円だが、できるだけ早く2兆円にしたい」(高橋秀仁社長)という。
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