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東レ・レゾナック・三井化学…素材メーカーが半導体事業拡大へあの手・この手

東レ・レゾナック・三井化学…素材メーカーが半導体事業拡大へあの手・この手

東レは半導体ソリューションに力を入れる(RO膜エレメント)

素材メーカー各社が半導体関連ビジネスを拡大する。東レは半導体材料や分析サービスなどを包括したソリューション営業を始めた。レゾナックは次世代半導体パッケージ技術の本格提案に乗り出した。半導体市況は底打ちの兆しが出ており、2024年前半にも生産が本格的に回復するとされる。半導体関連ビジネスの成長に向けて事業を強化し、商機に即応する。

東レが半導体ソリューションとして提案するのは材料、水処理、材料関連装置、分析の4分野。具体的にはマイクロ発光ダイオード(LED)ディスプレーの製造工程向けをターゲットの一つにする。極小LEDチップの高速実装を可能にするレーザー転写用材料や、LEDと配線の接合プロセスを簡素化する接合材料に加え、東レエンジニアリング製レーザー転写装置、チップ実装機を組み合わせて提案する。

転写用材料に載せたチップを裏からレーザー照射して配置することで効率的な生産や精度向上につながる。また接合材料と実装機を活用することで不良品が出た際の交換も容易になるという。

一方、レゾナックは自社が事務局を務める技術開発コンソーシアム「ジョイント2」を通じ、次世代半導体パッケージの本格提案に着手した。主に後工程における最適材料の組み合わせを訴求する。これにより顧客ニーズを集め、自社のみならずコンソーシアム参画企業にもフィードバックし、連携して商品力・提案力を強化する。

三井化学は5月、名古屋工場(名古屋市南区)に半導体関連の研究開発拠点を完成させる予定。同拠点を中心に他社との共同研究を推進する。出資を決めた新光電気工業については、次世代半導体関連で連携したい考え。三井化学が分子設計から開発した新規材料に対し、適合性評価を得意とする新光電気工業の知見を活用。次世代半導体のソリューション提案につなげる。

24年の半導体市場は過去最高を更新するとみられており、特にスマートフォンやパソコン用途の落ち込みで低迷していたメモリー市場の反発が見込まれる。また、車載や脱炭素用途で好調なパワー半導体は引き続き拡大する。生成人工知能(AI)の導入拡大も一部のロジック半導体の需要を喚起しそうだ。


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日刊工業新聞 2024年01月09日

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